■同じ南光太郎でも新しいものを作りたかった
『仮面ライダーBLACK RX』で変身ポーズをとる南光太郎。
───『仮面ライダーBLACK』と比べ、『仮面ライダーBLACK RX』の南光太郎が明るい性格になったのは、倉田さんの提案だったそうですね?
倉田:そうですね。吉川プロデューサーに相談したら「自由にやっていいよ」と言ってくださいました。僕の中で同じものをまたやるのではなく、同じ南光太郎でも新しいものを作りたかったというのがありました。
岡元:南光太郎がどんな変化をするのかは倉田くん次第でした。BLACKがRXになっても、変身したら戦いですから、戦うということでは僕は同じですね。もちろんポージングとかは違いますけれど。
───新人で抜擢された『BLACK』から、経験も積んで出演する『RX』では、撮影現場でも余裕ができたのでは?
岡元:確かに『BLACK』のときは自分のことで手一杯で周りを見ている余裕はなかったですね。何をするのかさえ分からないまま、撮影現場で突然指示されるので「えっ!?」とかなってましたね。そうならないように、練習、撮影、練習、撮影の繰り返し。『RX』は以前より少し技が増えた感じでしょうか。
倉田:次郎さんは大変だったよね。アクション監督だった金田(治)さんが何でもやらせてたじゃない? 気合いの人だったから結構無茶を言ってたよね。僕は『BLACK』と違って『RX』はレギュラーの家族や敵役も多いし現場がにぎやかだったので、余裕と言うよりもなごみましたね。『BLACK』のときは現場でも孤独なことが多くてピリピリ感があったから。
■今考えると大変な環境で撮影していた
───『仮面ライダーBLACK RX』ではどんなご苦労がありましたか?
岡元:毎日が苦労だった(笑)。
倉田:工場でのアクションシーンが辛かったですね。工場から出る粉塵やホコリはほんとに嫌でした。スタッフはマスクしているんだけれど、僕らはマスクができませんから。今はいいよね、スーパーアリーナとかでしょ?
岡元:まぁそうだね。たまに工場とかの撮影もあるけれど。昔は廃工場とか廃校とか、今考えると大変な環境で撮影していましたね。
倉田:次郎さんはバイオライダーとかロボライダーとか、初のフォームチェンジも大変だったよね。
岡元:RXからバイオライダー、ロボライダーへの変身は確かに大変だったね。カメラは動かせないし、立ち位置をマークして、カメラマンが背景のポイントを覚えておいて、その間に、フォームチェンジしなくちゃいけない。フィルム撮影は今のようにモニターで確認できないからね。
倉田:次郎さんは身体が大きいし、動きも大きくて見ていて壮観なんです。すごく格好良かった。次郎さんの代わりができるスーツアクターがいなかったんだよね。
■当時はなかなかリボルケインに触らせてはくれなかった
リボルケインを使ってダスマダー大佐(演:松井哲也)と戦う仮面ライダーBLACK RX。
───仮面ライダーBLACK RXは「リボルケイン」も使うようになって戦い方がスタイリッシュですね。
岡元:リボルケインは最後の一撃、必殺技ですよね。だからその前のアクションはそれほど大きな変化はないつもりですけれど、RXのデザインがスマートだからじゃないでしょうか。
倉田:あ、そうなんだ。僕はRXの方がBLACKよりごついイメージだな。
岡元:RXは装甲をまとっている感じはあるね。剣さばきは得意ではないけれど、不得意でもなく、いかにポージングが決まっているかに注意しました。構えと相手に刺すとき。しっかり回してしっかり決めるように常に考えてました。
───倉田さんはリボルケインを持ったことは?
倉田:リボルケインはRXに変身しないと出せない武器ですから南光太郎が持ったことはなかったですね。撮影現場でちょっと持たせてもらったことはありますけれど。
岡元:現場で使っていた小道具は電飾に蛍光灯を使ったりデリケートだったから、当時はなかなかリボルケインに触らせてはくれなかったよね。