■再度の宣告
検査結果がすべて揃ったのは初診から約2週間後。再び約3時間待ちで担当医の元に結果を確認しに行くと「思ったより重症」の言葉が出た。大動脈弁の逆流率が4段階中の最大(42%)であり、早期の手術を勧められた。
ただし、通院などの関係からどの病院で手術するかは、自分で決めるようにとも。同じ病院の循環器(心臓)外科に回るなら手続きするし、他院で受けたいなら紹介状を書く。それを選べと言う。
筆者の出した答えは後者だった。なぜなら手術実績は文句なしだが、何をするにも待ち時間が長かった。病院全体の雰囲気もいかにも大学病院という窮屈さがあり、駐車場も狭く、電車で行くにも不便な場所だった。
長い戦いになるのだから、できるだけ自宅から近く、家族に負担をかけない場所。それでいて信頼できる病院をとの考えから、過去に入院経験がある自宅からほど近い大規模病院に行くことにした。これは今でも正しい選択だったと思っている。
■心臓手術の医療費は高額
大規模病院の担当は最初から循環器外科。主治医は筆者と同年代。紹介状などの資料を読むと、
・大動脈弁を人工弁に置換する手術が必要
・貴方の年齢なら機械弁がいいだろう
・入院は術前2週間、術後2週間の計4週間が最短コース
・入院する前にしておくべきこと
など丁寧な解説があり、気持ちはかなり落ち着いた。
併せて担当看護師より、さらに詳しい説明を受け、採血・採尿・心電図・レントゲン・心エコーなども当日のうちに終了。あとは後日、医療相談室担当のカウンセラーより、手術に要する費用と、それに適用される公的医療制度について説明を受けた。
ちなみに、その時に提示された手術+1か月の入院費などの見積もり総額は約560万円(2002年当時)。その額に驚いたものの、保険適用と当時の高額療養費制度(更生医療を含む)により、実質10万円程度の支払いで済むことを知り。日本の医療制度のありがたみが身に染みた。