■Thank you.のお返しに使われるAnytime.
『セックス・アンド・ザ・シティ』で、主人公のキャリーが人とぶつかってバッグの中身を落とし、通りすがりの男性がそれを拾うのを手伝ってくれる。キャリーが、Thanks a lot.とお礼を言った際に相手が返した言葉が、
Anytime.
(いつでもどうぞ)
南谷さんの解説:Thank you.などとお礼を言われて「どういたしまして」と返す言葉として、真っ先に思い浮かぶのは、You’re welcome.だと思いますが、この会話のようにAnytime.と言うことがあります。
Anytimeは「いつも」「いつでも」なので、Thank you.への返事として使うと「いつでもどうぞ」「おやすい御用だ」「いいんだよ、いつでも言って」というニュアンスです。
本来は行きずりの人に使う表現ではありませんが、二人は初対面ながら惹かれ合い、「今度また君に助けが必要なことがあれば、僕はまた助けてあげたいよ」というニュアンスが入るわけですね。
■wearは「着ている」より「身につけている」
前述の(恋活中の)キャリーが、男性が結婚しているかどうか、とっさにチェックして言ったのが以下のセリフ。
He’s not wearing a wedding ring.
(彼、結婚指輪してない)
南谷さんの解説:wearは「着ている」と訳されることが多いので、どうしても「服を着ている」というイメージが浮かんでしまいますが、wearは服以外のものを「身につけている」「着用している」という意味でも使います。
指輪の場合も、日本語では「している」「つけている」「はめている」などの表現になりますが、英語ではwearを使えばいいのですね。
登場人物らがしゃべっていることを理解できれば、お気に入りの海外ドラマがもっと面白くなるし、学習意欲にもはずみがつく。何より、劇中の会話はリアル世界の会話と同じなので、学習しがいもある。本書には、そうした会話表現の中から特に使える555例が網羅されているので、海外ドラマの視聴学習と並行して活用するとよいだろう。
南谷三世さん プロフィール
1969年、大阪府生まれ。京都大学農学部卒業。英検1級、TOEIC990点満点。一男一女の母。ドラマ『フレンズ』の英語のセリフとジョークを解説するブログ『シットコムで笑え!海外ドラマ「フレンズ」英語攻略ガイド』の運営者。著書に『シットコムで笑え! 楽しくきわめる英語学習法』(NTT出版)、『読むだけ なるほど! 英文法』(学研教育出版)、『海外ドラマDVD英語学習法』(CCCメディアハウス)がある。
イラスト/サダ
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)