八段錦のいくつかの所作を体験したが、股関節を開いて立つだけですでに足腰が悲鳴を上げ、関節がぽきぽき鳴っている。弓を引くポーズ、こぶしのポーズなども挑戦したが、腰を落とすとお尻が出っ張ったへっぴり腰になってしまい、お手本の市来崎先生とはまったく異なる様相を呈している。
太極拳の流れるような動作の連続も実践してみたが、手と足を同時に動かしながら移動していくだけで頭が大混乱。実際は呼吸と合わせて行うのだが、呼吸などほぼ止まっていた。写真を見ると一人だけ盆踊りのような状態になっている……。
酸素を多く取り組んで脂肪を燃焼する有酸素運動では糖の燃焼効率が悪く、糖質を燃焼したい場合は瞬発的な動きが必要となる。両方兼ね備えているのが太極拳の負荷で、太極拳は軽運動だが脂肪と糖の燃焼効率が良いとのこと。確かにメディカルタイチで1時間動いても、ジムでのトレーニングのような激しい疲労は感じなかった。真冬でも10分歩いただけで汗びっしょりの私が、じんわり汗がにじむほどだったことも驚いた。初めての太極拳だったので、動きや呼吸に戸惑ったが、慣れてくれば私のような中高年でも継続してできる運動だと実感した。
「激しい動きはしないので、忙しい人こそ1時間のレッスンでリラックスしながら体をほぐしてほしいですね。できれば毎日やるのがベストなので、動きを覚えたら家でも実践するとさらに効果的です」(市来崎さん)
太極拳は年齢を問わず挑戦できるスポーツといえるが、拳の文字からもわかるように本来は武術。武術マインドを習得でき、マインドフルネス効果も期待できるため、男性や、運動の苦手なハードワーカーにもぜひ挑戦してほしいスポーツだ。
文/阿部 純子
■連載/阿部純子のトレンド探検隊