■医師がすすめる「検査前日の過ごし方」
健康診断の前日は、お酒や宴会を控える方いませんか? 検査前日の過ごし方で、検査にどう影響が出るのでしょうか?
●健診前日のお酒は控えた方が良い??
前日のお酒が検査結果に影響を及ぼす主な項目は、「尿検査」、「血液検査:血糖値、中性脂肪」です。飲酒により、脱水傾向になり、尿が濃くなり、「尿中蛋白」が出ることがあります。また、糖分が多いお酒を飲むことで「尿糖」が出たり、血糖値や中性脂肪が高く出ることがあります。お酒を嗜み大好きな方が気にする「γ-GTPや尿酸」は、前日のお酒というよりも、普段から頻繁に飲酒されている方に高めに出ます。前日の禁酒だけでは、検査をすり抜けることは難しいです。
●食事はどうする?
検査が午前中か午後かによって、食事を制限する時間は異なります。実施機関により異なりますが、午前の検査であれば約12時間前、午後の検査であれば約6時間前までに食事は済ませた方が良いでしょう。胃カメラやバリウム検査(消化器X線検査)では、胃に食べ物などが残っていると、正確な診断ができないことがあります。せっかく検査をするのですから、検査前に渡される案内書の内容に沿った方が良いでしょう。
ラーメンやイタリアンなど脂っこい食事やケーキなどの甘いデザートも、控えめに。
●常用薬はどうする?
心臓病や高血圧、糖尿病などの方は、飲まないことによる体の不調を避ける必要があります。検査中に具合が悪くなると、それ以降の検査を中断しなければならないこともあり得ます。普段通りに薬を摂取することが多いですが、主治医や検査機関との相談は必要でしょう。
●検査に影響する可能性がある薬やサプリメント?
普段、何気なく摂取しているお薬やサプリメントが検査結果に影響を与えることがあります。代表的なものとして、
・風邪薬: 肝機能値の上昇、貧血、白血球減少など
・抗生物質: 肝機能上昇・血小板減少
・抗血栓薬(血を固まりにくくする作用): 肝機能値上昇、血小板減少
・ビタミン剤(特にビタミンC): 血尿擬陽性
などがあります。薬の種類や成分も様々ですが、医師や薬剤師に相談しておくと安心でしょう。
ほか、検査の前日に激しい運動を行うと筋肉の疲労から、(本来は病気ではないのに)肝機能の数値が高くなることがあります。検査前に緊張して眠れない人もいますが、睡眠不足により、血圧が高めになることもありますので、注意が必要です。
■まとめ
健康診断、検診、人間ドックは、それぞれ目的が異なります。健康診断は、普段の皆さんの健康状態を知るバロメータですから、前日だからと慌てる必要はありませんが、実際よりも悪い結果が出てしまうこともありますので、上記のことを覚えて検査に臨んでみて下さい。
文/倉田大輔(池袋 さくらクリニック院長)