「アディゼロには〝マイクロフィットラスト〟という日本人のために開発した特別なラスト(足型)を使用しています。これは甲高な日本人の足を研究して、それに合わせて作られています。
特にかかとの部分ですが、日本人は欧米時に比べてこの部分が細いので、そこをしっかりとホールドするような形になっています。0.01mmまでこだわりを持って作られていますよ」(安藤さん)
実際に走り出してみると、その解説に納得。かかとの下部はかっちりホールドして、アキレス腱にあたる部分はソフトに密着させる。きつくて痛みが出ることもなく、しかもかかともズレない。着地の衝撃をまっすぐ推進力に変換する要因にもなっている。
ゆっくり走ってみるとBOOSTフォームのクッションを感じる。ただしフワフワするような柔らかさではない。ピタッと着地させてくれるような安定感があるクッションを感じる。
そこから少しペースを上げて走ってみると今度は反発が強く感じる。ただし、いわゆるクッションモデルに多いようなグニャッとつぶれて、そのあとボヨンと弾むものではなく、着地の瞬間にもう弾んでいる感じ。ある程度の固さをもったバネといったイメージだ。ぐんぐんスピードを上げて走りたくなる。足音がいつもよりも小さく、その着地のエネルギーが推進力に変換されていると感じる。
かかとから中足部までBOOSTフォームを使用し、さらにねじれを予防するトルションシステムを採用する。これも着地の衝撃をまっすぐに推進力に変換するテクノロジー。
アウトソールのグリップ力も忘れてはいけない。世界的タイヤメーカー、コンチネンタル製のラバーは、触ると少し粘り気が感じるほど高いグリップを誇る。ウエットコンディションでも路面をがっちりグリップして、前方への推進力を生み出す。