■ToDoリストを作る効果
そもそも、TODOリストを作る行為には、どんな効果があるのか。坂戸氏は次の3つを挙げる。
●「自分は何をやるべきか」を客観的に把握できる
「寝る前のTODOリスト『人生観』『事業観』については、次の日の朝のリセットされた冷静な感覚で読み返すと、そのリストを書き換えたり、追記したりしたくなってきます。つまり、自分は何をやるべきかを客観的に把握できるようになっている、昨日の自分とは違う自分がそこにいるということです」
●考える習慣がつき、目的を実現する条件がリアルになる
「“考える”ということは、ある意味“決める”ということ。仕事でもプライベートでも、『今日はいったい自分は何をしなくてはならないのか?』を自分に問いかけて、やることとやらないことを決めていると思います。それは自分にはできないことも明確に見えてくるということです。できないことでも、本当にやりたければ、それに向かって能力を高めるべきこと、努力をすべきことが明確化されます。TODOリストに書き出すことは、目的を実現するための“条件”がリアルになるということです」
●漠然とした不安がなくなり、やる順番が明確に決まる
「翌朝、会社に到着して、昨日の退社前に書いたワークリストのTODOリストを、朝の頭がスムーズに回転するときに見ると、『これなら午後の3時には全部終わらせるかも…』と感じることがあります。文字化して、どう処理をするかを計画立てて、実行するのがこのTODOリストの役割といえます。そして単なる“見える化”だけでなく、その先の“やる順番”を決めることもできます。TODOリストは、漠然とした不安や曖昧な感覚だけで、仕事や家事などに追われてしまわないようにする工夫といえます」
■3つのToDoリストは精神安定化にもつながる
会社の終業前、帰宅後、寝る前の3回のTODOリストは精神にも良い影響をもたらすという。
「例えば終業前のTODOリストは、翌日の仕事効率化だけでなく、仕事モードをシャットダウンするためのリセットの意味でも役立ちます。3段階のTODOリストを習慣化することで精神安定化を図るのに役立っています。まずは白い紙とペンを準備してみてください。そして書き終えた後に、書き出した項目をひとつずつ実践し、消していくことをイメージしてみましょう」
寝る前の「やることリスト」「TODOリスト」は、実に数多くのメリットがあるようだ。その仕事効率化のメリットだけではない、さまざまなメリットを見つけるためにも、生活の中で寝る前以外にもやってみるとよさそうだ。
取材協力
坂戸健司氏
クリエーター、ビジネスプランナー、コンセプター
武蔵野美大を卒業後、広告界に入る。多くのナショナルクライアントの広告戦略、販売促進の戦略を学ぶ。その後、故郷の広島に戻り、新産業開発研究所(有)代表取締役。広告ディレクター、プランナー、エディトリアルディレクター、人材教育、人材コンサルタントなど、あらゆるクリエイティブワーカーとしての顔を持つ。
取材・文/石原亜香利