食べ方は意外と人に見られている。そして、その食べ方によって、どのような「育ち」であるかだいたい分かってしまうものだ。接待や会食などの席で恥をかかないためにも食べ方にはぜひ注意したい。なかでも定番のにぎり寿司や刺身については意外と知らない食べ方マナーがある。マナーコンサルタントの西出ひろ子氏に聞いた。
■にぎり寿司と刺身の食べ方マナー
食事マナーと聞くと、フレンチなどのコース料理のフォークとナイフの使い方やナプキンの扱い方などのイメージがあるが、実は日本料理を食べるのにもマナーがある。まずは定番のにぎり寿司、刺身の食べ方マナーから確認しておこう。
●にぎり寿司の食べ方
にぎり寿司を食べるときは、手づかみか箸を利用するか迷うところだ。会食時にはどちらがふさわしいのか。「本来のにぎり寿司の食べ方は手づかみです。しかし、現在の会食では、お箸がついてきますから、特に決まりはなくどちらでもよいといえます。ただ、カウンターではなく一人前ずつ器で出されたときは箸のほうがエレガントです」と西出氏は答える。では、目の前でにぎってもらうカウンターではどうなのか。「手づかみがツウといわれますが、箸で食べても問題ありません」(西出氏)。基本的には箸で食べれば間違いはなさそうだ。
手づかみで食べるときと箸で食べるときの食べ方を確認しておこう。
・手づかみで食べるとき
親指と中指で寿司のシャリの両脇を軽くつまみ、人差し指でネタの上を押さえるように持つ。そのまま軽く持ち上げたら、ネタの先に軽く醤油をつけて口に運ぶ。
・箸で食べるとき
箸で寿司のシャリの両脇を挟むようにつかみ、少し傾けてネタの先にだけ醤油をつけて口に運ぶ。このとき、ひっくり返すとシャリが崩れることもあるため避けたい。
いずれも、シャリに醤油をつけたり、ネタだけはがして一度、醤油皿に浸したりするのはマナーとしては避けるべき。また、一口で食べるのが基本だ。
気になるのが、うにやいくらなどの軍艦巻き。醤油をつけるときに、醤油皿の上でひっくり返すとネタがこぼれ落ちてしまうこともある。西出氏によると「軍艦巻きはひっくり返さず、海苔の下のほうに醤油をつけていただきます」とのこと。またこれも一口で食べるそうだ。軍艦巻きの食べ方こそ、人から見られているかもしれないと思って気を付けよう。
●刺身の食べ方
「お刺身は、基本的に白身魚のような、味が淡白なものから食べ始め、最後に赤身魚を食べます。こうすると、素材の味がよくわかるといわれています」(西出氏)。
わさびは醤油に溶かさず、刺身の上に少しのせる。そして刺身を醤油皿の醤油に少しつけて口元まで運ぶ。そしてこのとき、醤油がたれそうであれば、用意されている小皿をもう片方の手で持ち、口元まで近づけながら食べるといいそうだ。
刺身に添えられたつまやシソは魚の青臭さを消すものだが、「同時に消化を助けるものでもありますので、交互に食べるといいです」と西出氏。マナーには関係がないかもしれないが、食べ終わった後、つまやシソだけ残すより、見た目がいい。