2017年は平成28年排ガス規制が現行継続モデルにも適用され、メーカーラインナップが一気に減ってしまった。とくに打撃を受けたのが空冷エンジンモデルで、これでトラディショナルなモデルはなくなってしまうか……なんて思ったライダーも多いだろう。しかし、じつはここ数年、新たなレトロデザイン(というと何だか変だけど)を持つニュージャンル「スポーツヘリテイジ」がキテいるのだ!
■モダンとレトロをミックスしたニュースタイルのロードスポーツ
2017年の東京モーターショーで発表され、バイクファンのみならず、今はバイクから遠ざかってしまっていたクルマファンからも羨望の眼差しを受けたのが、カワサキ・Z900RS。往年の名車Z1/Z2を思わせるシルエットを持ちながらも、そのディテールを見てみれば、ダイヤモンドフレームにコンパクトな水冷並列4気筒エンジンを搭載。リアサスペンションもモノサスとするなど、じつは現代的な装備に溢れている。また、機能面に目を向けても、ABSはもちろんのこと、トラクションコントロールを採用することで、あらゆるシーンで快適に、安全にバイクを走らせることができるのだ。
このように、スポーツヘリテイジとは単なる懐古主義ではなく、レトロのなかに先進的なデザインと機能をミックスさせたまったく新しいジャンル。最新機能の恩恵や性能を味わいたいけれど、あんまりイケイケすぎるデザインは……なんていう大人のライダーに支持されているのである。
ここでは各メーカーを代表する人気モデルを紹介しよう。
BMW Motored R nineT
205万8000円~
世界的なスポーツヘリテイジ人気を作ったのがこのモデル。進化を続けるBMWモトラッドのモデル群にあって異端ともいえるトラディショナルデザインは発表当時、世界中に感嘆を与えた。スタイル自体はじつにオーソドックスで、エンジンも空油冷方式を採用した伝統のボクサーツイン。長く愛されるに違いない、新時代のスタンダードだ。
BMW Motored R nineT Pure
173万6000円~
正立フロントフォークや前後キャストホイールなど、R nineTシリーズのなかでも最もスタンダードなモデル。過剰な装備を排除することでオートバイらしさを強調。BMW伝統のボクサーツインの“味”を楽しむにはもってこいのモデルだといえよう。