■木の棒とパン
今回は道端で拾った木の棒で試してみることにした。
この棒の皮を、VS2でひたすら削ぐ。他に試し切りの手段を思いつかなかった筆者の発想力不足が露呈してしまったが、ともかく木の棒を削りまくる。
VS2はアウトドアナイフなのだから、こうした使用も想定されているはず。また、この段階で刃こぼれしてしまったら筆者は記事を書けない。
だがやはり、佐治武士の和式ナイフはなかなかのものだ。刃こぼれを起こしたら謝ればいいということで遠慮なく棒を削ったつもりだが、切れ味は衰える様子を見せない。
棒削りが一段落したのち、今度はパンを持ってくる。硬いものの次は、柔らかいものだ。もし刃こぼれがあったら、パンはカットされる前に醜く潰れてしまうはずだ。
ふっくらな形状を保ったまま、その断面は見事に真っ平ら。まるでレーザーカッティングで作業をしたかのようだ。これぞ試し切りの快感!
Makuakeで公開されているVS2の出資枠に入金した人たちは、製品到着まで枕を高くして眠っていただきたい。
■ナイフ出展は「実力勝負」
クラウドファンディングにおける「刃物の出展」は、同時に「技術の競い合い」である。
刃物はごまかしが利かない。ケレン味を入れるだけの部分も少ないのだから、結局は「実力勝負」になる。本当にいいものだけが巨額の資金を調達し、そうでないものは消え去る。
単純に考えて、切れ味の悪いナイフを求める出資者など存在しないのだ。
VS2のプレオーダー価格は2万7500円から。今年8月から10月にかけての配送スケジュールである。
取材・文/澤田真一