海外のクラウドファンディングを見てみると、たまにアウトドアツールとしてのナイフが出展されている。
日本で「ナイフコレクター」と自称すれば妙な目で見られがちだが、欧米ではちゃんと「市民権」を獲得している。ヘミングウェイはラブレスを、ピカソはオピネルを携帯していたことは有名だ。芸術家や冒険家は、必ず「自分にとっての1本」を持っている。
ナイフは文化を構築するための基礎工具だ。文化人がナイフを所有しているのは、ある意味で当然である。
■越前打刃物の匠「佐治武士」
福井県越前市の佐治武士という人物をご存知だろうか。
以下、この人物の表記は敢えて「氏」を付けずに「佐治武士」とさせていただく。なぜなら、佐治武士という人名自体がブランド名として確立されているからだ。
佐治武士は越前打刃物を製造する伝統工芸士である。小刀からサバイバルナイフ、鉈まで作り出す職人で、その名は世界中のコレクターに知れ渡っている。繰り返すが、個人名がもはや製品のブランド名として認識されているというレベルなのだ。
佐治武士の和式ナイフは、世界中のフィールドワーカーやアウトドアのプロが愛用している。
その佐治武士がブレード製作を手がける『VS2』というナイフがある。製品をプロデュースするのはGSIクレオス。クラウドファンディングサイト『Makuake』で資金調達を行っている最中である。
まさかクラウドファンディングで佐治武士の名を見ることになるとは思いもしなかったが、ともかく筆者は製品を借りて早速その切れ味を試してみた。