■正に職人芸!
「写真が届いてから、1時間以内で返すことを心がけています」と青砥さん。
「難しい加工もありますよね?」と聞くと「帽子を脱がせることもあるので、そういった時はちょっと大変ですね」と返答。
高い画像技術処理を強みとしているアスカネット、少し変わった加工にも応じことがあるとか。
「今までで1番記憶に残っているのは、パチンコファンの方がなくなった時に作った写真ですね。筐体の”海物語”がお好きな方だったので、遺影に魚群リーチの画像を合成しました。もちろん”海物語”を作るSANYOにも許可をいただき……」
プライバシーもあり、現物を見ることはできなかった。しかし、不謹慎ながらニヤけてしまうエピソード。遺影と魚群リーチ、ここまで奇妙な組み合わせの妙もない。「ここまでやってくれたのか!」と故人も喜ぶこと”必死”、あっ間違えた”必至”である。
これぞ、遺影でイエイ!
遺影事情は、デジタル進化や住宅事情の変化とともに日進月歩。仏壇を置かない家が増えた昨今、アスカネットが開発したのが「スマートチェリング」。iPhoneを遺影の代わりにする簡易仏壇だ。
大きな仏壇を置けるスペースはないが、故人を想う心は誰もが持つ。
「遺影」と聞けば、日本の風習。揺るぎないものだと考えてしまうが、時代の機微によって形を変えていく。
「今ではカラー写真がスタンダードですが、昔の遺影写真は白黒が多いじゃないですか。それを変えていったパイオニアもアスカネットなんですよ」と青砥さん。
祖母の実家に行った時に見た、黒い縁取りの遺影写真を思い出す。
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そして、最後に見学したのがアスカネットが独自技術を活用し、つくったオリジナルの焼香台。遠くから見れば、ごく一般的なもの。だが、ご焼香をあげるために、台へと近づけば故人の遺影が映し出される。
天国へ行く魂を視覚化した仕組みと云えるだろう。
全ての葬式に悲しみは付随する。その悲しみを少しでも緩和する役目をデジタルで担うアスカネット。故人を最新技術で悼む試みに”今”を感じた。
取材・文/ヨシムラヒロム
イラストレーター、コラムニスト、中野区観光大使
■連載/ヨシムラヒロムの勝手に宣伝部長