夜景も遅いシャッタースピードで撮る被写体として代表的です。長時間、光を取り込むことで街の明かりが強調され、現実とはまた違った、まるでCGのような景色を撮ることができます。
遅いシャッタースピードの場合、注意しなければならないのが手ブレです。なめらかな水の表現や、夜景を強調して写し出す場合のシャッタースピードは数十秒という長時間になることも多く、それだけの時間を手で持って静止するというのは現実的ではありません。なので、三脚を用意してください。三脚は基本的に大きくて重くてゴツいほど優秀ですが、個人的にはそこそこ使えるレベルとして1万円程度の三脚からスタートするのが良いかなと思います。
■他の要素とのバランスを見極めよう
シャッタースピード自体は、仕組みも写真に与える影響もシンプルで、理解するのは難しくないと思います。ただ、自分の望むシャッタースピードで撮ろうとしても、なかなか上手くいかない現実もあります。遅いシャッタースピードで撮りたいと思っても、周囲がものすごく明るい環境だと写真が明るくなり過ぎるため、無造作にシャッタースピードを遅くすることはできません。カメラの他の設定とバランスをとりながら、希望するシャッタースピードを設定できるようにチャレンジしましょう。
とは言え、まずはシャッタースピードを変えることで写真にどんな影響があるのかを把握していなければ話しになりません。なので、ここで紹介した例を、ぜひ実践してみてください。何度か実際に撮ってみることで、感覚的に理解が進むはずです。そうすれば、きっと今より写真が好きになっていることでしょう。
それでは、すてきなカメラライフを!
取材・文/太田史郎(おおた・ふみお) フリー編集&ライター