一方、「HOKA ONE ONE」には走力のレベルに合わせたシューズという概念がない。
「ラインナップの中にソールの厚いもの、薄いものはありますが、レベルが高いから薄いものといったすすめ方はしていません。あくまで自分自身の走り方、好みで選んでいただいています。厚いソールで足を守りたいなら、レベルが高くてもそれを履いてもらってOKです。実際、フルマラソンを3時間台で走るランナーでも、ソールが厚いモデルを愛用している人もいます」と青木さん。
ここで紹介するのは、一番スタンダードなモデルの『クリフトン4』。このモデルをまず試してから好みによって、ソールの厚いもの、薄いものという具合にHOKA ONE ONEのシューズを選ぶ際の基準となる1足といえるモデルだ。
もちろん、この『クリフトン4』にも「HOKA ONE ONE」の基本テクノロジーは搭載されている。そのひとつがスムーズな足運びを促すための「メタロッカーテクノロジー」だ。
シューズの底の形状が、タイヤのようにラウンドした形状になっているのがわかると思うが、この形状により車輪が転がるように、走ることができるという。
実際に履いて立ってみる。まずつま先~カカト~つま先と、前後に繰り返し体重を移動してみると、ロッキングチェアのようにゆらゆら揺れる感覚がイメージできる。
その感覚のまま歩き出してみると、カカトが着地するたびに前の方に「コロコロ」とシューズが勝手に転がるような感覚がある。
しばらく歩いた後、次は軽く走ってみる。さっきよりもスピードが少し上がったことで、足の真ん中くらいで着地するようになるが、それでもシューズは転がっていく! ただし、今度は転がりの時間が多少短くなって「コロリ」という感じ。左右の足が着地するたびに「コロリ、コロリ、コロリ!」と進んでいく。
一般的なシューズは、着地した際の衝撃を反発に変えて、その都度ジャンプするような感覚で走っていくが、このシューズは違う。ラウンド型のソール形状に沿うように着地して、そのまま転がりエネルギーを利用して前に進ませていく感覚。5kmくらい走っていくと、ドン!と着地すると気持ち良くないシューズなのが分かって、自然に“足裏を転がす”動きになってしまった。
ソールが厚くて、ラウンドしている形状と聞くと、安定感に不安もあるかもしれないが、ふかふかするクッション感はあまりなく、かなりしっかりしている印象だ。着地した際にもガチっと体重を受けとめてくれる。このあたりがかなりレベルの高いランナーにも受け入れられるところなのかもしれない。
また最近は、このビジュアル的なインパクトもあって、都内のセレクトショップでも人気だとか。カラーラインナップもメンズは5色あり、普段のコーディネートにも合わせてやすい。しかも先述のとおり、コロコロと歩きやすいのでウォーキングやスニーカー通勤などの普段づかいにも最適。
転がるように走ったり歩いたりの新感覚、「コロコロ体験」してみてはいかがですか?
足入れ感もかなりソフト。「トライアスロンでも人気」とは先ほど書いたが、あの競技は裸足のままシューズを履いて走る選手もいるほど。内側には縫い目がないので、裸足で使用しても、ストレスが少ないはず。
またミッドソールの内側(足が入る部分)が「バケットシート」のような形状なので、足自体を包むようにホールドしてくれる。
シューズ内部と同様にアッパーもまた縫い目のないシームレス構造を採用。通気性が必要な部分、強度が必要な部分でメッシュの大きさを変えながら編み込まれた素材を使用している。