東京都が行なった調査によると、都内でスギ花粉症の人は48.8%(Data1)、今や2人に1人は花粉症といってもいい状況だ。一方、日本全国の実情はどうなのか? Data2ではスギ花粉症の重症度を都道府県別に調べているが、全体的に東日本は重症度が高かった。調査元の鳥居薬品によると、東日本で重症度が高いのは「スギとヒノキの人工林面積の割合が影響している」からだという。
「東日本ではスギのみが植えられていることが多いですが、西日本ではスギとヒノキが両方植えられている傾向があります。おそらくそれが関係していると思います」(経営企画部・加藤健人氏)
スギ花粉症がひどい人は西に行ったほうがよさそうだが、ヒノキの花粉にアレルギー反応を起こす人もいる。さらに世界を見渡すと、ブタクサやイネ科の花粉も飛散していることがわかる(Data3)。海外では日本ほど花粉症が騒がれていないようだが、ブタクサやイネ科の花粉はスギ花粉とどう違うのか?
「まずスギ花粉との大きな違いは、飛散する距離です。スギは100km先まで飛びますが、イネ科やブタクサは遠くに飛ばないので、草むらなどに近づかなければ、重症化しにくいのです。あと花粉の量もスギ花粉のほうが圧倒的に多いですね」
そう話すのは宮前平トレイン耳鼻咽喉科の伊東祐永医師。日本のスギ花粉は世界でも類を見ないほど厄介な花粉のようだ。今年も早めに対策を進めておこう。
【 Data1 】年々増え続ける患者数!東京都内ではついに2人に1人が花粉症!
■東京都によるスギ花粉症の実態調査
※2016年 東京都発表「花粉症患者実態調査報告書」より
1983年頃はまだ花粉症患者は都内で10%程度だった。スギを植えてから花粉が発生するまで約30年かかるといわれ、戦後植栽されたスギ林からの飛散量は年々増え続けている。