ラゲッジは5名乗車の状態で35Lのキャリーケース5個、9.5インチのゴルフバッグが3セット積める容量があり、日常のお買い物からアクティブ&スポーツシーンまで幅広く使いこなすことができる(HV MZグレードは防汚フロア&防水加工シート採用!)。
そんな大径16インチタイヤを標準装着するクロスビーを走らせれば、まずはアップライトで気持ちいい運転姿勢、直立に近いAピラーによる前方、斜め前方の視界の良さに満足できる。そう言えば、道なき道を行く本格4WDも視界が命。クロスビーはそんなデザインや運転姿勢、視界だけで、冒険に出たくなる気分になれる。
開発陣が「イグニスとソリオの中間を狙いました」と説明する4WDモデルの走行性能に格別な感動、驚きはないものの、1Lターボエンジンは排気量以上の力強さをスムーズに発揮。高回転まで回しても不快なノイズと無縁なのもそうした印象を後押しする。
4WDモデルの場合、乗り心地はしっかり感ある硬めでフラット感あるタッチを示し、段差やマンホール越えもマイルドにこなすマナーの良さが好ましい。これなら必要十分な動力性能と合わせ、ロングドライブも快適にこなしてくれるに違いない。
操縦感覚はパワーステアリング操作に対して車体が自然かつ軽やかに反応し、車体の軽量&コンパクトさを生かした、扱いやすさ抜群の“意のまま感”あるものと言っていい。速度を上げていくとビシリとした直進性を示し、より大きなクルマに乗っているかのような安心感に包まれる。イグニスより車高・重心が高いものの、カーブやレーンチェンジなどでの安定感も文句なしだった。
もちろん、急な坂道、4WDなら雪道、ちょっとした悪路も安心安全に走破可能である(スノーモード完備)。
クロスビーはスズキセーフティサポート込みで約200万円からの価格設定だ。ガレージに置いてあるだけでなんだかワクワクしてくる遊び心ある個性溢(あふ)れるデザイン、頼りがいある走破性能、後席のゆとり、ラゲッジの包容力などを合わせると、決して高すぎないと思えてしまうのも本当である。
できれば粋な2トーンカラーを選び、こう言ってはなんだがMINIっぽくなってしまう!ボディーストライプなどなしで愛すべき相棒にしていただきたい。
スズキ・クロスビー
http://www.suzuki.co.jp/car/xbee/
文/青山尚暉
モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。