EC市場の伸びに応じて宅配物は増える一方である。トラックドライバー不足が深刻化する中、国土交通省は再配達の削減を呼び掛けている。このような中「宅配物を受け取れない」「再配達を避けたい」ときの新しい手段も登場している。今回は、その代替策をいくつか紹介しよう。
■求められる宅配再配達の削減
近年、ECの市場規模は年々増加している。経済産業省「電子商取引に関する市場調査」では、2010年の約7.7兆円から2016年の約15.1兆円と、6年間で約2倍にも規模が拡大。それと同時に宅配便取扱個数は2009年から2013年の5年間で13%増加している。しかし近年の人手不足の中、特にトラックドライバー不足が深刻化。さらにトラックからのCO2排出による地球温暖化への懸念も、国土交通省から指摘されている。
このような背景がある中、宅配の再配達の削減が呼びかけられている。
国土交通省によると、宅配便の全体の取扱個数のうち約2割が再配達だという。また、この約2割の再配達を「労働力」に換算すると、年間約9万人のドライバーの労働力に相当するという。
その再配達を削減する関係各社の取り組みには次のことがある。
・マンション・駅・スーパーにおける宅配ロッカーの設置
・コンビニ・営業所受取サービス
・受取時間の指定
■新しい再配達防止策
こうした中、再配達を削減する新しい対策もいくつか登場している。
●一戸建て用宅配ボックス
不在時にもロッカーに宅配物を保管してくれる宅配ロッカーは便利ではあるものの、マンションなどに限られる。そこで、戸建住宅にも設置できる宅配ボックスが登場している。
・戸建住宅用宅配ボックス「COMBO(コンボ)」(パナソニック)
パナソニックは、2016年~2017年にかけて福井県あらわ市で戸建住宅用の「宅配ボックス実証実験」を行った。アンケート調査結果では、“宅配便を受け取れないストレス例”として「宅配業者に申し訳ない」「共働きで不在が多く受け取れない」「留守番中に宅配を子どもが受け取るのが不安」「宅配便の時間に合わせて生活する必要」「高齢者はチャイムに気づかず受け取れない」などが挙がったそうだ。戸建住宅用宅配ボックス「COMBO(コンボ)」は電気工事が不要で、押印・施錠ができる。実証実験では、4ヶ月間平均で、再配達率が49%から8%に減少したという。