
ダンスといえば、一部のダンスが趣味の人々がやることで、自分には縁遠いと思っている人は多いのではないだろうか。しかし、ダンスの運動性・リズムに乗った動きは、脳科学的に、さまざまな効果があることが証明されているのだ。特に子供たちにとって、ダンスの教育を入れることで、記憶力の向上やうつ病回避などの報告がされている。そこで、もっとダンスを身近になるよう、日常的にダンスを取り入れる工夫を紹介しよう。
■ダンスでセロトニンレベルが上がる?
運動には、脳を覚醒させる働きがあり、気分が高揚するため、うつ病を回避できるといわれているが、うつ病の原因は、脳内物質の「セロトニン」が欠乏していることが関係しているといわれている。早稲田大学スポーツ科学部の内田直教授によれば(@ITの記事内)、運動の中でも、ダンスやランニングのようなリズミカルな動きによって、このセロトニンのレベルが上昇し、気分が高揚するという。セロトニンは、日光に当たることで活性化するといわれているため、晴れた日に外でダンスをすることが、うつ病から遠ざかることができるようだ。
■ダンスのすごい効果
脳を活性化し、気分を高めてくれるダンスの効果をもうちょっと掘り下げてみよう。日経サイエンスの紹介記事によれば、マクマスター大学の神経科学の分野の研究で、人はダンスをしているとき、脳のうちでも、頭頂葉にある特定部分の活動が高まることが分かっているという。また、ダンスを続けていると、脳の「ブローカ野」に対応する、右半球の領域が活性化するということも分かった。「ブローカ野」とは、運動性言語中枢のことで、言語や音声の処理のほか、手話を生み出し理解する部分ともいわれている部位を指す。ダンスは、体を使って表現するコミュニケーション脳を活性化する働きもあるというわけだ。
このようにダンスは、幼少期に脳を発達させるためにも有効だといわれており、いわゆるキレる子供を回避し、自分をコントロールできる、コミュニケーションが巧みな脳に育つと考えられている。実際、子供への習い事は「脳にいいダンスをやらせている」という親もいるようだ。
■ビジネスパーソンが実践できるダンス、何がある?
ダンスは、少し精神的に落ち込みがちなビジネスパーソンにとっても、有意義な効果が期待できそうだ。特にこれといった体調不良がなくとも、ダンスは脳を生き生きとさせ、仕事のモチベーションを高めてくれる可能性がある。しかし、忙しいビジネスパーソンにとって、ダンスに真剣に取り組むのは難しいこと。最近では、ダンススクールも増えてきたが、家でダンスアーティストやアイドルたちのダンスを見ながら、それを真似て踊るだけでもよいといわれている。まずは、音楽番組などを見ながら、それに合わせて体を動かしてみるのもいいだろう。また、最近話題のTRFが提唱する「ダンササイズ」のような、DVDを自宅で見ながら踊るのも、シェイプアップ効果も見込める一つの方法かもしれない。今年は、ダンスをもっと気楽に取り入れてみてはいかが?
取材・文/石原亜香利
※記事内のデータ等については取材時のものです。