人見知りする猫、しない猫は生後3週間で決まる?
我が家の愛猫・睦月は、隙あれば甘えてくるくせに、何かと一歩距離をおく天邪鬼です。犬と比べるとその愛情表現は本当にまどろっこしくて「素直じゃないなぁ」と思うのですが、『猫的感覚――動物行動学が教えるネコの心理』は、その謎にも答えてくれました。
ふと気づくと、遠くからそっとこちらの様子をうかがっている睦月。
現代の私たちは昔から人間と猫は仲が良かったと錯覚しているところがありますが、イエネコの祖先である野生のヤマネコは、街中のノラ猫とも比較にならないほど人と距離をおきます。そんな猫たちが今私たちと生活を共にしているのは、まさに奇跡的なのです。
そして、猫たちは生まれ持った資質だけではなく、人間たちとの暮らしの中で日々学習しているといいます。研究によれば、猫は生後3週間くらいから人とたくさん触れ合っていると、とても人懐こくなるそう。反対に生後9週目(2カ月と1週間)以降に初めて人と触れ合った猫は、その後ずっと人のそばでは落ち着かなくなる可能性があるようです。
白黒ハチワレの睦月は、もともとノラ猫。生後2カ月ほどで団体に保護され、3カ月くらいになって我が家に迎えました。今思えば、生後3週間よりはちょっと時間が経ってから人間の社会に入り、我が家に来たのは9週目より後。人の出入りもそんなに多い家ではありませんから、家人以外に一切顔を見せようとしない人見知り猫に育ったのもうなずけます。
我が家に迎えた頃の睦月。よく遊ぶやんちゃな子でしたが、警戒心はとても強い猫でした。
猫がおもちゃにすぐ飽きるのには理由があった!
さらに、ジョン・ブラッドショー博士によれば、猫が「ごはんを選り好みするグルメ」だと言われたり、「おもちゃを与えてもすぐに飽きる」とわがまま扱いされたりするのには、動物行動学的な理由があるのだそう。
まず、猫たちは雑食の犬とは違って完全な肉食動物で、犬や人間よりもはるかに多くのタンパク質が必要な体をしています。そのため、自分で狩った獲物ではないキャットフードを食べるときに、たとえそれが栄養バランスの良いものであっても、そればかり食べて栄養に偏りが出るのを防ごうとする本能が働くのです。それでいろいろなものを食べたがる、というわけですね。
しかも猫たちにとって、おもちゃは狩りの疑似体験でもあります。どんなに攻撃しても壊れないおもちゃには興味を失い、バラバラになってこそ執心するところがあるのだとか。となると、壊れないから遊ぶのをやめるか、壊れて食べてしまいそうなのを飼い主がとめるかということになるでしょう。結果、「猫は飽きやすい」とレッテルを貼られてしまうのです。
壊れてバラバラになってこそ、猫にとっては魅力的なおもちゃというジレンマが……。