その5:飼い犬から飼い主に歯周病が移ることも
アニコム損害保険の調査によると、飼い犬の8割近くは歯周病の予備軍だという。実際に歯周病を発症するのは、10歳の老犬で3%程度であるものの、愛犬が飼い主の口を舐めて、飼い主に歯周病菌が移ることリスクもあり、油断は禁物。獣医師は、愛犬に1日1回の歯みがきを勧めており、これだけで歯周病の素因となる歯垢・歯石の付着を予防できる。
その6:子供の虫歯は減っている
成人の歯周病の深刻な状況とは逆に、子供の虫歯は減ってきている。20世紀の終盤において、12歳児(小学六年生)の虫歯の本数は4.6本であったのが、今では0.9本へと激減し、「子供に虫歯はあって当たり前」だった時代が過ぎ去ろうとしている。これは、口腔衛生意識の向上と学校歯科保健の働きが大きくかかわっている。
その7:免疫力の低下で生じる口臭もある
虫歯や歯周病が、口臭を生じることはよく知られているが、内臓機能や免疫力が低下して生じる口臭もあり、注意が必要になる。口の中には、数百種類の細菌が住みついており、歯をよく磨いている人でも総計2,000億個の細菌がいる(歯を磨かない人になると1兆個)。そのため身体の免疫力が低下すると、細菌の数は激増し、口臭の悪化につながるというわけ。自分の口臭が気になったら、マウスウォッシュで対処するのではなく、歯科医に相談するようにしたい。
参考資料:
『名医は虫歯を削らない』(小峰一雄/竹書房)
『日本人はこうして歯を失っていく』(日本歯周病学会、日本臨床歯周病学会/朝日新聞出版)
『歯みがき100年物語』(ライオン歯科衛生研究所編/ダイヤモンド社)
日本訪問歯科協会ウェブサイト
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社の役員をスピンオフして、フリーライター兼ボードゲーム制作者に。英語圏のトレンドやプロダクトを紹介するのが得意。
※記事内のデータ等については取材時のものです。