水素水ブームのおかげで、飲料水全般に対する関心が高まっているが、ベーシックな部分について意外と知られていないことが多い。今回は、水道水とミネラルウォーターについて、あまり知られていないコトを7つピックアップして紹介したい。
その1:水道水に含まれるトリハロメタンは危険?
「水道水には発がん物質のトリハロメタンが入っていて危険」であると、しばしば言われ、これが浄水器をつけるべき理由の一つにされている。トリハロメタンは、腐食した植物といった有機物と水道水の浄化に使用される塩素が反応してできる物質で、発がん性があるのは確か。しかし、水道水に含まれるトリハロメタンは、問題にならないほど微量であり、生涯水道水を飲み続けても影響はない。ちなみに、大阪市のような大都市は、基準値よりもさらに低い濃度に抑え、万全を期している。
その2:水道水に含まれる塩素は危険?
水道水には、殺菌のため塩素が入っている。塩素は本質的に有毒で、WHOの飲料水水質ガイドラインでは、塩素の含有量は5mg/Lまでとされている。この分量であれば、生涯にわたり水を飲んでも健康に影響は生じないが、におい(カルキ臭)や味の問題があるため、日本ではもっと厳しい基準(0.1~1mg/L)を設けている。ただ一部の医療関係者は、微量の塩素でも腸内細菌叢に悪影響を及ぼす、入浴時に眼の粘膜層にダメージを与えるなどの理由で、注意を呼びかけている。もし気になるようであれば、浄水器を取り付けて塩素をシャットアウトするとよいだろう。
その3:日本のナチュラルミネラルウォーターは加熱殺菌済み
日本国内のナチュラルミネラルウォーターは、採水地で汲んだ水をそのままペットボトルに詰めていると思っている人は多いかもしれない。ところが実は、食品衛生法にしたがい「沈殿、ろ過、加熱」によって殺菌処理がなされている。対して、ヨーロッパのナチュラルミネラルウォーターは、「いかなる殺菌処理もされていない」ことが基準として定められている。沈殿・ろ過はともかく、加熱殺菌したものに心理的抵抗を感じる人は多いため、メーカーでもこれに対応して、ろ過のみで殺菌処理した商品を出しているところが増えている。
その4:『南アルプスの天然水』は、九州では『阿蘇の天然水』になる
サントリーのロングセラー商品『南アルプスの天然水』の2リットルサイズ。実は、この商品の販売地域は、北は北海道から南は中部・北陸地方までに限定されている。近畿・中国・四国では、『奥大山の天然水』が、九州・沖縄では『阿蘇の天然水』が販売されている。理由は、採水地から離れるにしたがい、水の輸送コストが重荷になるため。そのため、南アルプス(山梨県)、奥大山(鳥取県)、阿蘇(熊本県)の3つの採水地を確保し、輸送費の問題を解決している。
同じ理由で、『い・ろ・は・す』(コカ・コーラ)も、異なる6つの県で採取した水を近県で販売しているが、こちらは同一の商標で通している。