とはいえ3年ほどは感想を書き続けたが、早々に僕にはコスメライターは無理だと気づいていた。記事を書く能力に欠けるからだけではない。そもそもコスメは、1本を使い切るくらいで効果を実感できるほど、即効性のあるものではないと思う。またAを3ヶ月使い、Bを3ヶ月使い、Cを3ヶ月使い、Dを3ヶ月使ったら、1年後に肌に透明感が出た(と思える)としよう。さてこれは、どの製品の効果なのだろうか? もちろん同じ製品を長く使い続ければ、その効果を実感し記事にすることはできるはずだ。しかしその期間、ほかの製品を試せないのでは、職業としてのライターは成り立たない。よってコスメライターの道はとうに諦めたものの、今でも使い切るごとにブランドを変えて楽しんでいる。
以上のようにコスメ記事最大のハードルは、書き手によるその効果の実証だ。だが女性向け製品では、様相が異なる。口紅なら脣に塗り、色や輝きを語れる。アイシャドーやチークなら、メイクした写真でその特徴を示せる。ただし基礎化粧品と呼ばれる肌への効果が目的のコスメでは、同じアイテムを仮に3ヶ月間使い続けようと、女性向けでもその効果は見た目には出ないと思う。いやBS放送などのコマーシャルを見ると、短期間でも効果が出るような印象も受ける。男性用とは違うのだろうか。
ここで一つ提案。SNSが最大のコミュニュケーション手段となり、テレビが薄く大きくかつ4K・8Kと美しくなり、クルマでは自動運転や電気自動車が遠からず当たり前になる、一昔前まではありえないことが次々と現実化するこの時代、コスメメーカーは男性用の”女もすなるけそうといふもの”を商品化してみてはどうだろう。平安貴族の流れをくむ一部の男性を除き、歴史的にも99.9%以上の男性には無縁だった“男の化粧”ながら、ありえなかったことを当然のごとく受け入れている現代の男性には、違和感なく響くかもしれない。既にメンズの眉毛を濃く描くペンくらいは存在するが、まずは目をきりっと大きく見せる男性用アイライナーあたりからどうだろうか。僕自身は61歳ながら、目の周りに少々の色を入れて艶やかに見せるアイテムを待望するのだが……。なお“けそう”とまではいかないだろうが、肌色系のクリームを顔に塗ってシミなどを目立たなくするアイテム、アラミスの「BB クリームフォーメン SPF35」(本体5300円)を使ったことがある。ご覧のように見た目の効果は十分ながら、僕にはどうにも”肌が息苦しく”、あまり使っていない。確か二日酔いなどで肌つやに精彩を欠くときの使用を勧める記事を読んだことがあり、そんな使い方でトライしてみるといいと思う。