■赤身肉は鉄板焼きのほうが失敗が少ない
脂肪分が少ない赤身肉は、いかに肉汁をとじこめるかがポイントだ。待ちきれずにつついたりひっくり返すごとにうまみは逃げ出す。肉の準備から焼き上がり後の休息まで、じっくり待つことが大切なのだ。
試しにケネディ氏のアドバイス通りに、網焼きと鉄板焼きにチャレンジしてみたところ、どちらもやわらかく焼き上がったが、網焼きはどうしても表面に浮いた肉汁がこぼれ落ちてしまう。炭火ならではの香ばしさが加わるが、ややぱさつきが生じてしまった。赤身特有の深いうまみを残さず味わうなら、鉄板やスキレットを使うのがベストだ。
また、せっかくブロック肉を購入しても焼き肉のイメージでつい薄くカットしがちだが、これではどんなに気をつけて熱しても硬く、ぱさついてしまう。3〜4cm厚のステーキを焼いてから、薄く切り分ける方が断然失敗しづらい。
ケネディ氏によると「ニュージーランド牧草牛は自然な風味が魅力」とのことで、味つけもシンプルなもので十分。塩・コショウで食べるほか、スキレットで焼いた際に残った油を使ってソースを作ってもよし。だししょうゆと日本酒を加えて煮詰めるだけのシンプルな和風ソースを作ってみたが、十分おいしい。
赤身肉は、手間をかけずに時間をかけることでとっておきの一皿になる。バーベキュー・パーティーのホストにとって、じつにありがたい食材だ。
ブロックで手に入れたら、薄くスライスするのではなく厚めにカット
網焼きの場合、どうしても肉汁が落ちてしまう。炭火ならではの香ばしさを得られるが、鉄板焼きに比べると硬めの仕上がりだ
肉の焼き加減は、トングで軽く押して確認。中指と親指で輪を作り、親指のつけ根の硬さがミディアムレアだ。ただし、つつきすぎると肉汁が流出するのでほどほどに
文/大森弘恵
■連載/大森弘恵のアウトドアへGO!
※記事内のデータ等については取材時のものです。