64ps、10.6kg-mを発揮するターボエンジンは、標準車にも設定されるターボモデルと同一だが、しかし走りのテイストはそれとは別物だった。
まず、標準車とカスタムの大きな違いと言えるのが、静粛性へのこだわり。標準車で8カ所に施される防音材=インシュレーター、エンクロージャー、ピラーセパレーター、カーペットに加え、カスタムは耳に近い位置のドア回りにドアライニングインシュレーターを追加。これは特にロードノイズの遮断に効果的で、高速走行でのストレス低減度、家族の会話がより弾む車内の静かさという点で、カスタムがわずかだが標準車を上回ることになる。
そしてタイヤサイズ。標準車はノンターボ、ターボともに乗り心地重視の14インチを組み合わせるのだが(それが上質な走りを生み出す要因のひとつだが)、カスタムターボは15インチのスポーティーな銘柄のタイヤをフィッティング。
ズバリ、走りの上級感、余裕、カーブでグイグイ曲がる回頭感の良さ、安定感で群を抜く走行性能を実現。その要因として、足回り剛性の向上もさることながら、サスペンションのバネレートを全車25%落とした乗り心地重視の設定としつつ、ホンダの乗用系軽自動車初採用となるリヤスタビライザーの追加(前後スタビライザー装備となった)も効いているはずだ。
乗り心地は14インチタイヤ装着車にくらべやや硬めながら、段差やマンホール越えなどでも角が取れた上質感を示し、しっかり重厚。荒れた路面でのビリビリ、ザラザラした感覚もないに等しい。それこそ先代フィットより乗り心地の上質感、快適感で勝っているように感じられたほどである。