■山形県民のこんにゃく愛
山形でのこんにゃく愛はさまざまな場面で見ることができる。スーパーマーケットに豊富な種類が山積みになっていることはもちろん、お祭りやイベントなど、地元民が集まる場所には必ずといっていいほど玉こんにゃくの屋台が出る。
しかも安い! 地元民が集まる場所なら1本100~130円ほど。白いこんにゃくの外側にほどよく醤油が染みているのが特長だ。
ところで、山形のこんにゃくはなぜ白いのだろう?
「玉こんにゃくに限らず、山形では基本的に白、もしくは生芋が好まれます。他の地域でよくあるひじき入りのものは、弊社では関東からの発注があったときだけ作るくらいです」(長谷川さん)
これは東北地方全体に言えることだそうだ。
また、山形名物の「日本一の芋煮会」は、芋と牛肉に目を奪われがちだが、実は平こんにゃくも絶対になくてはならない存在。具材の20%ほどを占めるそうだ。
■よいこんにゃくは密度が濃い
玉こんにゃくの出荷量は時期によりかなり変動があり、同社では春先やお盆休み、年末年始に増える。板状の平こんにゃくは山形名物の芋煮会の時期。山菜の時期は糸こんにゃくやしらたき。それぞれ市場の人気が変化する。
一貫しているのはどれも歯ごたえが強いこと。東京などで手に入るものは軟らかいものが多いが、山形のものはガツンとした弾力がある。これは玉こんにゃくに限ったことではない。
同社が料亭の依頼で作った「極細しらたき」などは、シャキシャキした食感が癖になると県内での評判も高い。一般的にスーパーで売っているものの倍以上の値がするが、これじゃなければダメというファンも多い。
では、こんにゃくの値段の差はなぜ生まれるのか? 単刀直入に聞くと
「平こんにゃくでいうなら、高いものは押した時に弾力があり、はね返す力が強い。つまり、密度の濃さが値段に反映されているわけです。材料の質も当然あります」
国産特等原料紛を自社工場で手間ひま掛けてしっかり作っていれば、値段もそれなりになるというわけだ。