■DACに高解像度の「VERITA AK4490」採用
本機が搭載したDACは旭化成エレクトロニクス社製DAC「VERITA AK4490」である。DSD11.2MHz、PCM 384kHz/32bit対応した最新型のDACで、最初からオーディオ用として開発されている。パワーアンプ部にはICEpower社のクラスDパワーアンプを採用。ヘッドホンアンプには『UD-503』に採用されたTEAC-HCLD(High Current Line Driver)を搭載。プッシュプル回路とオペアンプのクラスAB動作だが、ほとんどのヘッドホンでクラスA動作になるという。ヘッドホン端子はLRグランド分離型を採用するので、φ3.5mm4pin端子を使えばグランド分離接続ができる。
■Bluetooth搭載でaptXとLDAC対応!
ワイヤレスでハイレゾ相当の音質が楽しめるLDACにSONY以外で対応。もちろんaptX、AACにも対応している。私としてはaptX HD対応の方が今後、対応機器が増えると思うのだが。
■やや辛口で音楽を俯瞰する見晴らしのいい音
『AI-503』は粒立ちがよく、情報量が多くて音像定位が緻密に描かれる。山頂から景色を見るように音楽全体を俯瞰できる。デスクトップで小型スピーカーと組み合わせれば、眼前にミニチュアのオーケストラが出現する。パワーアンプと組み合わせてフロア型スピーカーを鳴らせば、左右だけでなく奥行き方向、高さ方向にもキッチリと音像が定位する。まさにハイレゾ音源向けのDAC内蔵プリメインアンプである。Bluetoothの音も、ヘッドホンアンプの音も同じ傾向で、音色はややクールで辛口だ。
本機には4種類のデジタルフィルターの切り替え機能があるので、音色どう変化するのかを検証してみよう。デジタルフィルターOFFもあるので、これも加えて聴き比べてみよう。Yuji Ohno & Lupintic Five with Friends「BUONO!! BUONO!!/THEME FROM LUPIN III 2015〜ITALIAN BLUE ver」(48kHz/24bit)と手嶌葵「I Love Cinemas -Premium Edition-/Calling You」(96kHz/24bit)を再生した。
Digital Filter OFF 音がにじむ感じ。または音が曇る。ノイズっぽい感じだ。
FIR Sharp Roll-off 音の輪郭がクッキリした。音像定位が良くなった。弦の音がリアルだ。
FIR Slow Roll-off 楽器の響きが豊かになる。ボーカルの音色はこちらの方が好みだ。
Short delay Sharp Roll-off ウッドベースの音色が本物らしい。余分な響きがなくなる。
Short delay Slow Roll-off さらに丸い音か。差は微妙、ボーカルの音色がいい。