■漢字・仮名の大きさは変える
ふだん新聞の活字や画面のテキストを見慣れているせいで、手書き文字もみな同じ大きさで書くものと、思ってしまいがち。しかし、清水さんは、それではうまく見せることはできないと言い切る。
「なぜなら、文字の中に残される余白のバランスが崩れるからです。活字はデザインされた文字で、そのバランスもうまく考えて作られています。手書きの場合は、その余白のバランスを書き手がうまく操らないと、文章がバラついて美しく見えません」
具体的には、画数の少ない漢字は小さめ、多い漢字は多少大きくが基本ルール。漢字以外については、漢字の大きさ10に対して、ひらがな8、カタカナ7、英数字は6ぐらいの目安に小さくする。
「『白』のように、中に余白を多く抱える漢字は、大きく書くとひどく稚拙に見えて失敗します。画数の多い漢字は、できるだけ点や画を詰めて書き、大きくなりすぎないようにします。バランスよく調和できるように書いてみてください」
清水恵プロフィール
東京書道会、毎日書道会の審査会員、会員を経て、書壇を離れてインテリア書道などをプロデュースするキャレモジに所属。数々の書作品を手がける。JTたばこの「富士」、小学館の高級誌『駱駝』のタイトル字なども手掛ける。文科省硬筆検定1級所持。手書き文化振興会主宰
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社の役員をスピンオフして、フリーライター兼ボードゲーム制作者に。英語圏のトレンドやプロダクトを紹介するのが得意。
※記事内のデータ等については取材時のものです。