■どうやって「睡眠の日」を作るのか
睡眠の大切さはわかった。けれど、どうやって週1日の「睡眠の日」を設けられるようにするのか。
「少し長いスパンで考えると、朝型の生活に切り替えることです。自律神経の働きは、一日中で交感神経と副交感神経が交互に優位になります。具体的には、起きてから午前中、そしてお昼ごろにかけては交感神経が優位ですが、午後に入り、夕方そして夜になると副交感神経が優位になって眠くなります。
交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキの働きをすることは過去の記事にも触れましたが、仕事、とくにクリエイティブなことは交感神経が優位な時間帯にやるほうが効率的で、副交感神経が優位になる夕方から夜、ましてや深夜にかけては向いていません。これは医学的根拠もある話ですが、やはり人間は昼間活動して、夜は休むようなメカニズムになっているので、自分は夜のほうが仕事が捗るタイプ、といわれても私はおすすめしません」(小林さん)
つまり、ダラダラと残業をしたり、仕事を自宅に持ち帰ってやろうとしても、生理的には効率は上がらない。また加齢とともに自律神経のバランスは崩れていくため、若いときに夜遅くまで仕事ができていたからといって、いつまでもそれができるわけではない。もし仕事をするならば、一度きちんと睡眠を取って自律神経のバランスが整う午前中に集中してやるほうが良いと小林先生は言う。そうしたことを確かめるためにも「睡眠の日」を設けて、体調の違いを試してみて欲しいそうだ。
「いきなり22時に寝られるようにするのは難しくても、12時前に寝るようにするなど、自分で出来る範囲のところから始めてみましょう。自律神経のバランスを整える際によくないのは、無理な目標を立てて挫折したり、失敗がストレスになってしまうこと。気軽に楽しめる範囲から少しずつ慌てずに行なうのがポイントです」(小林さん)
ビジネスパーソン向けの実用書や指南書は、体調を整えることを経験的に説くものが少なくないが、小林先生のように医学的根拠や臨床現場の知恵をもとにアドバイスをするものは珍しい。次回は“動のゴールデンタイム”である午前中の過ごし方について触れることにする。
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文/男衾太郎
IT機器やサービス、ライフハック術などを記事を執筆する好奇心旺盛ライター。
※記事内のデータ等については取材時のものです。