●自分がコントロールできないことで悩まない
その悩みが、自分がコントロールできることなのか、できないことなのかを見極めて、コントロールできないことでは悩まないようにする。例えば、SNSに他人が書いた内容は、自分ではコントロールできないこと。そうしたものに、いちいち心を乱され、振り回されては、脳は疲弊するばかり。
スマホ・PCの情報チェックを意識的に減らすことも大事だが、仮に気になる情報に触れても、自分でどうこうできないことであれば、心を煩わせないように留意したい。
●「やり残していること」リストを作成する
資格の取得など、「ずっとやりたいと思ってきたけれど、いまだやれずにいること」をリスト化する。そうすることで、頭の中が整理され「意外とすぐに実現できそう」など、具体的に見え、意欲がわいてくる。
これに限らず、心のもやもやを紙に書き出すのは、自分を知ることにつながり、脳の回路の刺激につながる。ふだんの不満や悩み事なども、書き出すクセをつけておくとよい。
●対人頭脳ゲームで対戦する
チェス、将棋、囲碁などの対人頭脳ゲームは、脳科学の見地から脳によいことはわかっている。「相手の出方を読みながら戦略を考え、さかんに駆け引きする行動が脳に刺激」となるばかりでなく、積極的に人と交流しようとする姿勢も脳にプラスの要素になる。
●リアルの質感を大切にする
ITの進歩で、ディスプレイ上でコミュニケーションから買い物まで様々なことを済ませることが多くなった。しかし、奥村院長によれば、これは脳にとって不健康なことだという。ディスプレイ上でのやりとりは、視覚情報が突出して多く、他の刺激が少ないため、脳が疲れやすくなり、脳回路のバランスにも悪影響を及ぼすという。
そこで、ふだんメールでやりとりが済んでいる取引先に、あえて出向いて直接話をするとか、リアル商店で買い物をするなど、できる範囲でリアルの質感に触れて、嗅覚、聴覚、触覚も刺激しておくこと、が脳の機能維持に重要となる。
奥村院長は、「脳の老化は30代から始まっている」という。「まだまだ自分は若い」と思っていると、人生の後半戦になって足元をすくわれかねない。物忘れが多いとか、疲れやすいと自覚しているビジネスパーソンは、ニューロビクスを実践してみてはいかがだろうか。
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社の役員をスピンオフして、フリーライター兼ボードゲーム制作者に。英語圏のトレンドやプロダクトを紹介するのが得意。