誰しも一生に1回くらいは、「終電を逃して、おまけに財布をなくした」とか「震災に遭って、避難所への道路が寸断された」というようなアクシデントを経験するもの。そんな過酷なサバイバル環境に置かれたときの最後の手段が、「野宿」である。
ふつうは不本意ながらする野宿だが、1回経験してみると、眠っていた野宿本能が呼び覚されて、やみつきになる人もいう。あるいは、ある種のエンターテイメントとして、野宿に興味は持っている人もそれなりにいる(らしい)。
今回は、そんな野宿ビギナー予備軍の方に向け、野宿女子として知られる、かとうちあき氏の、『あたらしい野宿(上)』(亜紀書房)をベースに野宿のイロハをまとめてみた。また後半では、著者のかとうちあき氏に、都心部でおすすめの野宿スポットを5つ挙げていただいた。
●野宿の絶対必需品―寝袋
野宿気分を高め、寒さをしのぎ、貴重品の盗難を防ぐ意味でも、寝袋(シュラフ)は欠かせない。
寝袋は何種類かに大別されるが、基本形は「マミー型」と「封筒型」。「マミー型」はすっぽり入って暖かいが、生地や中綿にこだわると結構高価になる。「封筒型」は、入るのが簡単で安価なものが多いが、顔が寒いという欠点あり。他に「ロボット型」という、入ったまま立ち歩けるものもある。何を使うにしろ、折り畳んで収納したときに、できるだけ小さくなって、勤務先のロッカーやデスクにしまっておけるものにしたい。