健康や医療、病気に関する様々な情報が氾濫しているが、中にはとんでもない誤った情報も含まれている。とくにインターネットで誰もが簡単に、様々な情報にアクセスできるようになってからは、誤った情報に接しやすくなった。正確さに欠く医療情報を流して問題になった医療系キュレーションサイトの例のように、誤った情報ほど、あっという間に広まりかねず、信じてしまったら取り返しのつかないことにもつながりかねない。命にかかわりかねないことほど、正しい情報・知識を得る必要がある。
『「先生、医者代減らすと寿命が延びるって本当ですか?」』(小学館)は、「飲んではいけないクスリ、受けると危ない治療がわかる!」というサブタイトルが示すように、医者、病院、クスリ、検診、ワクチンにまつわる不安を解消する一冊。クスリやワクチンの副作用、検診のリスク、話題の健康法のウソ・ホントを、マンガで交えつつわかりやすくまとめた。
■いい医者とダメな医者の見分け方
まずは、身近なクスリから。ドラッグストアで買ったクスリを飲んで治してしまうという人も多いことだろう。しかし本書では、クスリについて、「頼るのは危険」と指摘。市販のかぜ薬では、こんな警鐘を鳴らす。
「そもそもクスリというものは、どんな良薬でも体にとっては“異物”です。多かれ少なかれ副作用を伴います。入れないに越したことはありません。
そし市販のかぜ薬にもイブプロフェンのような強力な解熱炎症成分が入っています。効き目が強いということは、副作用も強いということです。イブプロフェンの副作用には重篤なアレルギー症状であるアナフィラキシー・ショック、消化管潰瘍、胃腸出血、腎臓や肝臓の機能障害などの重大なものがあります。皮膚がただれて失明したり、最悪の場合は死に至る『スティーブンス・ジョンソン症候群』の危険性もあります」(第1章 p15)
かぜ薬でもこれだけの重篤な副作用の心配がある。簡単には手が出せないと思うと同時に、クスリに慣れてしまった人にとっては、対処法が気になる。対処法については、本書では自然治癒が一番としている。乳児は別だが、人間の脳は41℃ぐらいまで上がっても問題はなく、普通であれば2〜3日程度安静していれば下がる。つらいときは冷たい水を飲んだり、濡れタオルを首筋や脇の下、脚の付け根など、動脈の通り道に当てるなどして体を冷やせば、少しは楽になる。逆に言えば、大人などは2〜3日も安静にできないほど余裕がないから、クスリに頼る現実も見えてくる。
また、ちゃんと医者の診断を受けたいという人にとっては、いい医者とダメな医者の見分け方が気になるだろう。本書では、いい医者とダメな医者を見分けるチェックポイントが紹介されている。それは、
1.あいさつをするか
2.服装がだらしなくないか
3.患者の目を見て話すか
4.患者の羞恥に配慮しているか
5.患者のプライバシーを守っているか
6.質問にきちんと答えてくれるか
7.検査データの貸し出しを渋らないか
という7つ。診察室で治療に入る前に、自身でチェックできる項目が多い。チェックして合わないと思ったら、次から変えればいいだけ。自分の健康を守るためなのだから、遠慮はいっさい不要である。
いい病院を選ぶためのポイントも知りたいところ。著者によれば、よく見られる「いい病院ランキング」はアテにならないとのこと。普遍的で正しい基準による病院の評価はまだないためだ。外見や内装で判断せず、病院・医者ランキングや口コミをアテにしないことが重要で、著者も、「この病院、この医者なら大丈夫だと信じ切らないようにしましょう。病院、医者はいつでも代えていいのです。それは患者の自由なのです」(第2章 71ページ)とエールを送る。