■連載/山崎俊輔のフィンテック入門
ITが金融のしくみを便利にする、フィンテックの成果を個人の立場から考えてみる本連載、5回目はアカウントアグリゲーションについて紹介します。
アカウントアグリゲーションというのは、複数の口座をひとつのサービスで縦覧できるようにするサービスのことです。仕組み自体はフィンテックのブーム以前から提供されてきたものですが、近年のフィンテックブームと相まって今後のサービス拡充が期待できるテーマのひとつです。また、フィンテックの本来あるべきテーマのひとつではないかと思います。
■資産は全体でみて管理運用する時代だが今までは難しいことだった
資産をひとつのところにすべてまとめている人はまずいません。銀行をどんなに信頼している人であっても、1000万円を超えた場合、複数の金融機関に分けて預けます。破綻時に全額保全されない、つまりペイオフの心配があるからです。
銀行もメインバンクに加えてネットバンク等のサブバンクの口座を持っている人がほとんどですし、証券会社で投資をしている人は投資の口座があります。電子マネーやクレジットカードなども利用額としては無視できないものとなっており、自分の資産(および負債)がどこにいくらあるかわかりにくくなっています。
一方で、資産を全体で把握し管理運用するべき時代となっています。アセット・ロケーションの発想です。効率的資産配分を検討するアセット・アロケーションという言葉がありますが、こちらは文字通り「資産(アセット)」の「置き場所(ロケーション)」を追求する考え方です。
例えば確定拠出年金口座は積み立てるほどに所得税や住民税の節税になり、運用益は非課税ですから、有利に活用すべき口座です。NISA(少額投資非課税制度)も年120万円の範囲で投資でき利益はすべて非課税になります。
投資したい資金はこうした税制優遇のあるアカウント(口座)に重点的に移し、かつ高利回りの期待できる投資の選択をすべきです。
しかしそのためには自分の財産全体を把握、管理する感覚が求められ、そのためのサポートツールが必要です。
アカウントアグリゲーションサービスはその一助となってくれます。