チタン製シャーシはサンドブラスト仕上げで、手に持つとアルミとは違う質感と重量感がある。
交換方式のコネクター。一番上のφ4.4mm5pinは別売オプションとなる。
ケーブルにはVan den Hul製であることが誇らしげに明記されている。
裏側をみると内部の導体が見られるようにここだけ透明にシースになっている。
■BA型に負けない高解像度で音像定位も抜群だった!
SHANTI「BORON TO SING/Killing me Softly With His Song」(96kHz/24bit)をA&ultima『SP1000』とバランス接続で聴くと、恐ろしく音像定位がシャープだ。ボーカルの音像は、他のどのイヤホンよりも小さい。非常に細かい音まで再現される。同じ曲をBA型マルチドライバーとBA型ハイブリッド、ハイルドライバーのハイブリッドのバランス接続で聴いてみたが、『Dream』の解像度の高さに驚かされる。高域から低域までズーッと解像度が高い。そしてシングルドライバーならではの音場感の良さが光る。これは左右のドライバー特性を揃えいていることも効いているに違いない。
細かい音を描き分けるためには音の粒立ちを良くしてエッジを立てる必要がある。スパッとしたキレ味になるが、女性ボーカルのなめらかさはスポイルされ、独自の甘い響きも乗らないため、録音が悪い楽曲は、そのまま悪く聞こえるというモニター的な特徴を持つ。さらにSONOMA『Model One』で同じ曲を聴いてみると、『Dream』はやはり高域のエッジが立ちすぎているように思える。そのために高域チューニング用のイヤーチップが3種類付属しているのかもしれない。一切の妥協なくベールをはぎ取ったような音を聴きたい人、イヤホンに個性を求めずプレーヤーの音を楽しみたい人、ハイレゾデータの音を100%引き出したい人にもオススメ。シングルドライバーってどうよと思っている人にもぜひ聴いてもらいたい高性能モデルだ。私としてはSONY『NW-WM1Z』とφ4.4mmのバランス接続で聴いてみたい。
写真・文/ゴン川野
オーディオ生活40年、SONY『スカイセンサー5500』で音に目覚め、長岡式スピーカーの自作に励む。高校時代に150Lのバスレフスピーカーを自作。その後、「FMレコパル」と「サウンドレコパル」で執筆後、本誌ライターに。バブル期の収入は全てオーディオに注ぎ込んだ。PC Audio Labもよろしく!
※記事内のデータ等については取材時のものです。