■医師推奨!健康的なお風呂の入り方
問題は血圧の大きな変動にある。そのヒートショックの予防法については消費者庁をはじめとして、そこかしこで発表されている。ぜひその通りに実践したい。そうした基本的な予防策を踏まえた上で、早坂先生は、健康的なお風呂の入り方として、次のことを推奨する。
●湯温は40度程度のぬるめに
「寒いからといって42度を超える熱いお湯に浸かると、交感神経の働きが活発になり、血圧が上昇します。また、血液の粘度が上がり、血栓ができやすくなるなど、ヒートショックを起こしやすくなります。ぬるいと思う程度の40度くらいにしましょう。副交感神経が刺激され、心身ともにリラックスできます」
●湯船に浸かる
「シャワーだけで済ませず、湯船に浸かりましょう。温熱効果により、血流がよくなって新陳代謝が活発になり、老廃物が排出されやすくなります」
●湯船に浸かる時間は10分
「湯温が40度でも10分以上浸かると体温が上がりすぎてしまい、浴室熱中症になる危険があります。入浴中の事故につながりやすいため、長くても10分までにしましょう」
●入浴後はミネラル入りの水分補給を
「入浴すると汗をかくため、500mlほど水分とミネラルを失うといわれています。よって入浴前後の水分補給は欠かせません。およそ500~600mlほど摂るといいでしょう。水でもかまいませんが、おすすめはミネラルの含まれた飲み物です。例えば、スポーツドリンクやミネラル入りの麦茶などがあります。ただしスポーツドリンクなどは糖分が含まれていることが多いため、摂りすぎには注意しましょう。
また、お風呂上がりのビールは利尿作用により、脱水を引き起こす可能性がありますので、おすすめできません」
入浴前後にはミネラルを含む飲み物で水分補給をし、脱衣所・浴室を暖めておくなど、冬の入浴時には準備や対策が重要になりそうだ。ぜひ冬は特に安全かつ健康的に入浴しよう。
取材協力
早坂信哉先生
東京都市大学人間科学部教授、医師、博士(医学)、温泉療法専門医。
お風呂を医学的に研究している第一人者。「世界一受けたい授業」「ホンマでっか!?TV」など多数のメディアに出演。主な著書は「たった1℃が体を変えるほんとうに健康になる入浴法」「入浴検定公式テキスト」など。
取材・文/石原亜香利