■セッティングを詰めれば音質は向上するが……
せっかくバランス入力があるので、拙宅のリファレンスDAC、Resonessence Labs『INVICTA MIRUS』を接続すると情報量が増え、さらに解像度が上がって音像はシャープになるのだが何かが違う。音の目指すベクトルが異なるため『E1』らしさがスポイルされる。内蔵DACに戻してUSBケーブルを信号系と電力系に分かれた二叉タイプに交換して、iFI『iPurifier2』を加えた。これはいい方向に働きS/N感が向上して、静けさが増した。それに伴ってボーカルや楽器の響きがクッキリとした。タテ置きをヨコ置きに変更してスパイク+アルミ受け皿を使うと解像度が上げられるが、使い勝手が悪くなる。
古賀氏の言葉が思い浮かぶ。「オーディオマニアではなく音楽ファンのためのヘッドホンアンプ」それは多分『E1』だけで完結された世界なのだ。わずかな音の違いにやっきになってケーブルを交換したり、スパイクを履かせたりするのは彼の本意ではない。ボリュームが使いやすいタテ置きにして、上質なワインやシガーを楽しむように音楽を楽しむ。そんな贅沢な時間を過ごすためにとびきりの音を聴かせてくれるのが『E1』というヘッドホンアンプなのだ。
写真・文/ゴン川野
オーディオ生活40年、SONY『スカイセンサー5500』で音に目覚め、長岡式スピーカーの自作に励む。高校時代に150Lのバスレフスピーカーを自作。その後、「FMレコパル」と「サウンドレコパル」で執筆後、本誌ライターに。バブル期の収入は全てオーディオに注ぎ込んだ。PC Audio Labもよろしく!
※記事内のデータ等については取材時のものです。