■フルレンジは大口径がいいとは限らない
バックロードホーンスピーカーを作ろうと思った時、部屋に置けるサイズの中で、最も大口径ユニットを選びたくなるのがオーディオマニアの性である。もちろんウーハーなら大口径38cmがいいに決まっているのだが、フルレンジの場合は話が違ってくる。なぜなら、高域の再生限界を伸ばすには小口径の方が有利だからだ。低域を出すなら大口径、そのバランスのいいとこ取りしたのがロクハンと呼ばれる16cmフルレンジなのだ。限界は20cmで、これより大きくするにはコアキャシャル型の出番になる。それでは小さい方はと言えば、6cmが限界で、よく使われるのは8cmである。
例えば口径20cmのFOSTEX『FE206En』の高域の再生限界は20kHzである。これに対して8cmの『FE83-Sol』は40kHzまで伸びているのだ。低音を取るか、高音を取るか、それが問題だ。ということで生まれた解決策が小口径ユニットを2発使う方法。振動板の面積が2倍になって低音の量感を確保、高音の再生限界はそのままなのだ。さらに大口径の振動板を動かすよりも、アンプでドライブしやすくタイトでスピード感がある低音が得られる。まさにいいことだらけに思えるが、ユニットが2本になることで位相特性が乱れるため音場感への悪影響が心配。低域の再生限界は下がらず、大口径よりも最低域が伸びないのではという懸念もある。
そこで、FOSTEXから限定発売された『FE103-Sol』の8cmバージョンである『FE83-Sol』を2発使ったバックロードホーンキットBearHorn『ASB832Sol』を組み立てて8cm×2発の音を聴いてみよう!
BearHornのキットは番号付き、ダボ付きなので木工用ボンドがあれば組み立てられるが、ハタ金が2本ぐらいあった方が便利だ。これはパーツ確認も含めて仮組したところ。