差し迫った状況で焦ったためか、まるで数10分も走ったかのような、落ち着かない時間を過ごし、「早く停車してくれ!」と願う中、やっと田んぼが見えるのどかな田舎駅に到着した。しかし、その駅はとてもすたれていて、少なくとも10分以上待たなければ電車が来る気配すらない、そんな駅だった。しかたなく、快速から降りてすぐに、戻りの電車の時刻表を確認しに歩き始めた、その時だった。聞こえてきたのは電車の音! 同行した誰かの普段の行いが良かったお陰だろうか? JR阪和線から空港線への分岐がある日根野駅まで、飛行機にギリギリ間に合う時間で戻ることができた。
しかし、まだ安心はできない状況だ。空港に向かう電車に間に合わなければ意味がない。ドキドキしながら時刻表を再び確認すると、なんと空港行きの列車が5分後にすぐ出発するのだった。これは奇跡だった!
突然訪れたこの日の騒動は、なんとか終結したのだった。
しかし、空港行きの快速へ乗ったはずなのに、なぜ目的地にたどり着けなかったのだろうか? なぞの答えはこうであった。大阪から空港行きのJR快速電車は、終着駅が別の電車を連結し、途中区間を併結運行して、分岐点で分離されていたのだ。我々は空港行きとは違う車両に乗っていたため、空港に向かうことができなかったのだった。
Osaka, Japan
[旅の達人情報]
ヨーロッパにだけあると思っていた“列車の併結運転”が日本にもあった。大阪市内から関西国際空港に向かうJRの快速電車は、通常8両編成で運行されているが、途中の日根野駅で分離され、一部は空港方面へ、残りは和歌山方面へと別のルートを進む。多くは前4両が空港行きの場合が多く、運行中に併結車両間での移動はできない。空港行きの車両には目的地の方向案内に飛行機のアイコンと情報が記してあるため、乗車の際は忘れずにチェックしたい。そのほか、カナダのバンクーバーなどでも空港行きの列車が併結運行されている場合があるので、注意が必要である。
取材・文/劉昊相(YOU HOSANG)
韓国出身。見知らぬ場所や文化を楽しむ、生まれついての旅行家。イギリス在住時に様々なプロジェクトを経験、Panasonicなど多国的企業での海外業務経験を持ち、英語、日本語、韓国語に通じる。旅行 コミュニティー「Club Terranova」を運営。
※記事内のデータ等については取材時のものです。