■旅館のマナー「心づけ」
ところで気になるのが旅館の仲居さんなどに渡す「心づけ」だ。そのマナーも確認しておきたい。
「海外では、サービスを受けたときや受けるために『チップ』を渡しますが、日本では一般的に宿泊料金の中にサービス料が含まれているため、あえて心づけを渡す必要はありません。しかし、赤ちゃんや小さなお子様連れ、お年寄りの方が同伴していて、特別なお世話をしてもらった場合や、記念日などで特別なはからいをしてもらうようなときには、ご自身の気持ちを包んで渡す場合があります」
●心づけの金額は宿泊料の1~2割
「心づけの金額は、宿泊料のだいたい1~2割程度で、ポチ袋や懐紙などに包んで渡すとスマートです。その際、お金を包んだ袋にご自身の気持ちをひと言、記しておくと、さらに気持ちが伝わるでしょう。その他、お金を包むのではなく、菓子折りを渡すと相手も受け取りやすいのでお勧めです」
●心づけを渡すタイミング
「渡すタイミングは地域や状況によりさまざまですが、仲居さんがお部屋へ案内してくれたときに『お世話になります』とあいさつをしながら、はじめに渡すとスマートでしょう。特に、赤ちゃんやお子様連れ、お年寄りの方が同伴していて、特別なお世話をお願いする可能性がある場合、はじめに心づけを渡すことでスムーズに対応してくれ、お互いが『ハッピー・ハッピー』の関係になるからです。一方、宿泊中に思いがけないことをしてもらった場合など、心づけを渡したいと思ったのであれば、仲居さんがお部屋から帰る際などに、感謝の言葉を添えて渡しましょう。
絶対にこのタイミングで渡さなければならない、というものではありませんが、人前で渡すのは避けた方がいいでしょう。もし、心づけを断られた場合は、素直に引き下がります。旅館の方針や決まりで、心づけを受け取ってはいけない宿もあるので、無理に渡そうとすると返って相手に迷惑をかけてしまいます。その場合は、お礼の言葉だけを伝えるようにします」
●心づけのポイント
「心づけは、お世話になった相手に対する『感謝の気持ち』です。その気持ちを謝礼や品物という形として渡すものです。一方的に押し付けるものではありません。あなたの感謝の心を相手に伝えて、お互いがウイン・プラス・ハッピーの関係になることがマナーといえます」