日本には、糖尿病の疑いのある人が約900万人、予備軍も合わせると2500万人以上もいると言われているが、きちんと治療を受けている人は、たった30%と低い。低い理由の一つが、厳しすぎる食事制限に挫折することにある。挫折が後を絶たないことから、我慢が苦手なズボラな人に向けてまとめられたのが、『ズボラでも脱糖尿病 血糖値 上がらないのはどっち?』(アスコム刊)である。
本書は、料理ごとに血糖値を細かく比較したもの。長年にわたり糖尿病治療に携わってきた医師が管理栄養士と組み、料理ごとの血糖値の目安を示しただけでなく、糖質をカットするコツや血糖値を上げない食べ方もアドバイスする。主食やおかずになるものはもちろんのこと、酒のつまみ、おやつ、コンビニ商品も収録。外食する機会の多い人は常に携帯しておきたい一冊である。
■ご飯もの、麺類は野菜を多く摂る
日本人の主食である米。例えば、ソースかつ丼、牛丼、天丼であれば、一番糖質が少ないのはソースかつ丼。また、かつカレー、キーマカレー、チキンカレー、ビーフカレーで一番糖質が少ないのは、かつカレーになる。カレーは油脂の多いルーと炭水化物の多いご飯の組み合わせのため、血糖値を上がりやすいが、かつカレーはこの中でも糖質が低いだけでなく、かつが塊肉のため噛む回数が増えて、早食いを防止するため、血糖値の上昇をゆるやかにする。
丼ものやカレーは、外食で食べる機会も多い。外でご飯ものを食べる場合、次のことを心がければ糖質はカットできるという。外食でのごはんものでは、丼やラーメンライスなどのW炭水化物、いなりずしのような甘い味つけはタブー。丼には野菜を追加すること。刻みねぎやオクラ、白菜キムチなどがトッピングできるお店では、迷わずのせましょう。また、サイドメニューのグリーンサラダや浅漬け、味噌汁、お浸しなどで、栄養バランスを整えましょう。一番最初に、野菜をしっかりと噛んで食べるようにします。(PART1・25ページ)
とくに男性は、丼ものだけで食事を済ませてしまったり、ラーメンライスが好きな人が多いだろう。意識して野菜を追加するなり、炭水化物の過剰な摂取を控えることが、糖質を抑える重要なコツになる。主食といえば、麺類も外せない。まず、そばとうどんで比較した場合、糖質は食物繊維が豊富なそばの方が低い。そばとうどんで迷ったら、迷わずそばをチョイスしよう。ラーメンを食べたい場合は、醤油ラーメンか塩ラーメンを選ぶといい。麺類で糖質をカットする技としては、次のようなものが紹介されている。
気をつけたいのは、もりそば、やまかけそば、かけうどんなど、糖質が高い炭水化物だけのメニューを選んでしまうことです。糖質の少ない具ができるだけたくさん入ったものを選んでください。(中略)具が加わると食感が出てくるので、しっかりと噛む必要があり、食べ方もゆっくりに。また、食物繊維は、血糖値の上昇をゆるやかにします。ただし、天ぷらや甘く煮たにしん、油揚げはあまりおすすめできません。(Part1・34-35ページ)
ラーメンを注文するときは、野菜がたっぷりのタンメンやもやしそば、ねぎラーメンがおすすめ。野菜をプラスしたからといって、けっして糖質が減るわけではありません。でも野菜で食物繊維をしっかり摂ることで、具がほとんどないラーメンを食べるよりも、糖の吸収が早くなります。(PART1・40ページ)
麺類に使われている小麦粉は、米に比べて糖質の吸収が早い。麺類を食べるときは、糖質の量を抑えるのと同時に、吸収スピードをゆるやかにすることに注意が必要。ご飯ものと同様、野菜を多く摂り、糖の吸収をゆるやかにすることを意識する。結局のところ、ご飯ものも麺類も野菜を多く摂り、バランスの良い食事を心がけることが大事だということだ。