例えば、内装を選んでいく過程にしても、シートやインテリアの色や素材が選べるだけでなく、シートのステッチの糸の色まで選ぶことができる。まさに、カスタムオーダーの世界で、オーダースーツを作る時と同じ感覚だ。もし、奥様と一緒に行ったら、女性のほうがハマってしまうかもしれない。担当者によると、機能やパーツなどは男性が選び、内外装の色や素材、ナンバープレートの数字など、奥様が決めるというケースが多いそうだ。
詳しい説明を受けながら、じっくり選べるというだけで、実車のイメージが湧いてきて、ワクワクしてしまう。ただ、つい、あれもこれもと装備を充実させたくなってしまうところだが、画面の片隅には、その時点での総額が表示され随時更新されるため、慎重にならざるを得ない雰囲気になる。まさに、選ぶ楽しさとほどよい緊張感が混在する。
こうして、少しずつ『マカン』が変身しながら、「これはいらない」「これはいる」などと言いながら、自分仕様の『マカン』が完成形に近づいていく。ちなみに、全部で約180項目ものチョイスがあるそうだ。これは『マカン』に限らず、他の車種も同じ。よく、ポルシェのオーナーは世界に1台しかないポルシェに乗れる、といわれるが、あらためてその意味を知らされたような気がする。
すべての選択が終わって、概算見積額を見た時、衝撃が……。今回、私が選択した、オプションの総合計額は、なんと493万円! 車両本体価格685万円に、490万円のオプションを加算すると1175万円。これでは、1066万円の上級グレード『マカン ターボ』の価格を超えてしまうではないか。
そこでもう一度、冷静になってカーコンフィギュレ—ターの画面をチェックしながら、再考。シミュレーションを始めてから、約1時間後、ようやくこれだという自分だけの『マカン』が完成した。オプション総額は、抑えに抑えて100万円強に。これなら『マカンS』の車両本体価格(805万円)よりも安いということで納得(※本当に欲しくなってしまったが……)
もし、本当に購入する場合は、注文書にサインをして発注という流れになる。4〜5か月ぐらいで納車されるという。冒頭の話に戻ると、残価設定ローンで購入し売却益が出れば、3年後に上級モデルに乗り換えられることになる。たしかに、初期投資額は大きいが、その後は好きなポルシェに乗り続けられることを考えれば、この買い物は賢いといえるだろう。
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文/石川真禧照(自動車生活探検家) 撮影/望月浩彦