子供の頃にカプセルトイ、通称「ガチャガチャ」に夢中になった記憶はないだろうか。キン消しやスーパーカー消しゴムといった少年心をくすぐる手遊びタイプに始まり、コップにぶら下げて楽しむ『コップのフチ子』や個性的なポーズがクスッと笑える『考えない人』などの鑑賞タイプのように、その種類は様々だ。
大半は玩具メーカーが手がけているが、ファミリーレストラン(以下、ファミレス)の「すかいらーく」グループのカプセルトイは異色を放っている。なんと、飲食業でありながら、完全オリジナルで制作・提供しているのだ。
なかでも、『移動店機 レストランダム』はかなり個性的。「レストラン型変形ロボ」というほかには類を見ないトンデモ企画だが、どうしてファミレスである同社がここまでのこだわりを見せるのかを同社マーケティング本部の斎藤衛さんと松沢恵子さんに聞いてみた。
「すかいらーく」 マーケティング本部 斎藤衛さん(左)、松沢恵子さん(右)。
■『アンパンマン』を卒業した世代の子供を意識
「すかいらーく」グループのカプセルトイは、「ガスト」、「バーミヤン」、「ステーキガスト」の子供向けメニュー「ラッキーセット」を注文するともらえるガチャコインによって手に入れられる。この専用コインを使うことで、店頭のガチャガチャが回せるようになっている。この新たな試みは2015年1月にスタートした。
「ラッキーセット」のメニュー。注文すると専用のガチャマシーンで使えるコインがもらえる。
もともとは幼児向けの「お子様セット」で、『アンパンマン』のおもちゃを提供していた。しかし、小学校入学前後の子供たちは、すでに『アンパンマン』を卒業しており、そのおもちゃに満足していないというアンケート結果が出たという。
この結果を受けて、「一部の子供がもらってうれしいものではなく、より多くの子どもに食事の瞬間を楽しんでもらうためのおもちゃを提供しようと思いました」と松沢さんは話す。これがオリジナルカプセルトイ誕生のきっかけだ。