■連載/阿部純子のトレンド探検隊
◆新陳代謝の低下がガサガサお肌の根源?
これからの季節、気になるのが肌の乾燥。中でも指先は年齢を重ねるほど如実に現れる部分で、名刺交換のときやネイルサロンでカサカサの指先が気になってしまう女性も多いのでは。マーケティング会社のパシフィック・コミュニケーションズが実施した、手肌の乾燥が気になるシーズンを前に20~39歳の女性226人を対象にした「ハンドクリームの意識調査」では、20~39歳の女性の約75%が、相手の肌老化に気づくのは「手・指先」という結果が出ており、手は見た目年齢を大きく左右するポイントともいえそうだ。
自分自身も他人からも気になる手や指先のかさつきをケアするために、ハンドクリームを選ぶ際に最も重視されることとして6割以上が「機能性」を挙げているが、実はハンドクリームを使用しても「効果が感じられない」と答えた女性が約8割にも上ることがわかった。
女性のスキンケアにも詳しい「Y‘sサイエンスクリニック広尾」統括院長皮膚科医で、アンチエイジングドクターとしても知られる日比野 佐和子先生はこう話す。
「保湿機能の低下を防ぐためには角質に対する効果が高い保湿剤を使用することがとても大切。多くの方がハンドクリームで思ったような効果を得られなかったと感じる要因に、『ターンオーバー=新陳代謝』を促すことなく、保湿の努力だけをしてしまっていることが考えられます。
ターンオーバーは年齢とともに周期が長くなり、20代では28日、30代では40~50日、40代では50~60日と言われています。気温が下がり代謝が下がる冬場は、夏場に比べてさらにターンオーバーが活発になりづらくなります。余分な角質は本来自然と剥がれるべきですが、うまく剥がれないままで放置しておくと下から新しい細胞が上に押し上がれない状態となり角質がたまる原因に。角質が剥がれないまま、外から保湿しても、しっとりした健康な肌に導くのは難しいのです。まずこの古い角質を柔らかくして剥がすという機能を持ったクリームを塗布することが、保湿の成果をあげるための近道です」
ターンオーバーを促すために皮膚科医も処方する、安全でかつ最も効果的な成分として日比野先生は「尿素」を挙げる。
「もともと体内に存在する尿素は古くなった角質を溶かし、新しい皮膚に生まれ変わるのを助ける働きと、体の中の水分を皮膚表面に集めてくる働きを持っており、30 年以上も前から皮膚科医に信頼されてきた成分です。私の父(75歳)の代から、多くの患者さんの乾燥トラブルには尿素を処方すれば解決するケースが多数ありました」