静けさの際立つ夜、友達と待つ街中、遠い国へのひとり旅――
人生の実に様々な瞬間に、私たちは読書を必要とします。本を読むことは知識を増やし体験を豊かにしてくれるのみならず、人生や世界について考えるヒントを得ることでもあります。
電子書籍の登場で、読書はもっと身近で手軽になり、一度に何百・何千という本を脇に抱えて海外へ渡ることも可能になりました。さらに、貴重な本が無料で読めるというのは図書館だけで得られる特権ではなくなり、“ネット上の図書館”が世界中でいまも拡大しつつあります。
例えば国内では、著作権の消滅した作品とパブリックドメインに指定された作品を扱う “青空文庫” というインターネットサイトがあって、そこでは”図書館のようにインターネット上に集め“られた” 誰にでもアクセスできる自由な電子本の閲覧・ダウンロードが可能です。
青空文庫では死後50年を経た作家の作品であれば登録が可能になり、(全国のボランティアの方が入力・校正を行なえば)“書架”に収められて、あらゆる読者からが閲覧できるようになる仕組みです。
今回は、死後50年を経て著作権の消滅した日本の文豪10名を紹介し、さらには彼らの作品をKindleで快適に読むための形式変換方法をご紹介したいと思います。
■谷崎潤一郎
(1886.7.24~1965.7.30)
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person1383.html#sakuhin_list_1
著作権の消滅を迎えたばかりの谷崎潤一郎は、『刺青』『秘密』などの官能的で審美的な短編や、大阪(船場)文化の崩壊過程を描いた現実的でメランコリックな『細雪』などの代表的長編によって知られています。
続々とボランティアの方々による登録が進んでいますので、これを機に谷崎潤一郎を読み深めたいという方は、現時点で登録が済んでいる作品から始めてみると良いでしょう。
■江戸川乱歩
(1894.10.21~1965.7.28)
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person1779.html#sakuhin_list_1
大正・昭和時代を代表する推理小説作家・江戸川乱歩も青空文庫で読めます。
『怪人二十面相』などの全国的に認知度の高い少年向けの探偵小説、『人間椅子』『鏡地獄』『押絵と旅する男』などのどこかシュールで思考実験的な優れた短編にも恵まれています。