「2ストキラー」として名をはせた、250cc4気筒レーサーレプリカバイク。レーシーでいて、尖りすぎたモデルがアツかった。そして、このバイク達が今、買い時なのだ。
生産が終了してから15年以上が経った今、じわじわと中古車市場で値を上げ始めている。ましてや出回る台数が減少している。
今こそ、彼らを手に入れないと、2度と愛機にする機会はないかも……ちょっとオーバーだけど、真剣にそう思っている。
■デュアルヘッドライトのフルカウルがアイコン
1986年にヤマハがリリースした『FZR250』。当時人気だった、鈴鹿8時間耐久などに出場していた耐久レーサーを彷彿とさせる、デュアルヘッドライトのフルカウルボディが、250cc4気筒レーサーレプリカのアイコンとなり、後に各社から登場するモデルのイメージターゲットになった。
『FZ250 PHAZER』を購入すると中学生の頃誓っていた筆者ではあったが、実際に購入したのはこの、「FZR」であった。低回転でスロットルをあおると「シュインシュイン」という軽快な音をたて、そこからスロットルを軽くひねれば、1万回転オーバーまで、タコメーターの針は勢いよく跳ね上がった。
とにかくよく回るエンジンだった。回転が上がれば上がるほど澄んだ高音を奏で、トンネルなどではわざとシフトアップせずに高回転まで回して、エンジン音を楽しんだものだった。
当然、「FZR」は人気を集めた。それに刺激されたのか、水冷4気筒250ccエンジンの先駆者、スズキがついに『GSX-R250』を1987年に発売する。
しかしこの『GSX-R250』は残念なことに、デザインが大人しかった。リアシートも常識的なデザインで、“レーシーさ”を至上とするライダーからは、やや物足りないという印象であった。
“デュアルヘッドライトのフルカウルボディ”の方程式に従い、1988年にホンダも『CBR250R』をフルモデルチェンジした。
しかし、ヤマハのFZRを意識し過ぎたのか、フロントブレーキをFZRと同じくシングルローターに留めてしまったのが悔やまれる。400ccとの差別化もあったのかもしれないが、時代は“フルスペック”こそが正義の、バブルまっただ中。『CBR250R』では、ユーザーは満足しきれなかったのである。ホンダの“レーサーレプリカを極めたモデル”は、後任へと託すことになった。