メタボ健診は2008年からスタートし、義務化されている。ただ、私たちに受診が義務付けられているわけではない。メタボ健診を受けるかどうかは任意だ。義務付けられているのは、国民健康保険を運営する各市町村や、各健康保険組合、共済組合がメタボ健診を実施すること。だから、メタボ健診を受けなくても、私たちが罰金を払ったりすることはない。
罰金・罰則がないためか、きちんとメタボ検診を受けている人は思ったほど多くない。厚生労働省の「平成27年度特定健康診査・特定保健指導の実施状況」のデータによると、50%をやっと超えて喜んでいるくらいだ。メタボ健診を受けるべき人の半分しか受けていない。また、健診を受けた結果、特定保健指導の対象者になった人のうち、しっかり指導を受けた人は17.5%しかいない。
メタボ健診を受けた人の割合を表す表。平成27年度にやっと半分を超えた。
メタボ該当者と予備軍が受けるべき特定保健指導をきちんと受けた人は17.5%にすぎない。
受診率が低い理由は、各市町村や健康保険組合、共済組合がペナルティを受ける基準が、メタボ健診の実施率が0.1%未満だった場合と、非常に甘いものだったからかもしれない。
こうした状況に対し厚生労働省は、メタボ健診の受診率を上げるため、罰金を科す対象を広げ、罰金も増やす。2018年度以降は、受診率が57.5%未満の健康保険組合、共済組合は、後期高齢者医療への拠出金負担の加算率が現行の0.23%から最大10%へと大幅に引き上げられる。自営業や無職の人が加入する国民健康保険でも、同様の取り組みが行われるという。
この負担は私たちに回ってくる可能性がある。私たちがメタボ健診をきちんと受けないと組合に罰金が科せられ、それが健康保険料に跳ね返ってくるかもしれないのだ。
こうなると、広い意味の肥満税、「メタボ税」とでも名付けられそうな事態になる。海外のおもしろ税金を笑っている場合ではない。なお、逆に受診率が高い組合に対しては負担を引き下げるので、私たちがメタボ健診をきちんと受けるようにすれば、この件で健康保険料は上がらないはず。
とんでも税金“メタボ税”を増やさないためにも、きちんと健康診断を受けて健康を維持していきたいものですね。
取材・文/房野麻子