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日本海側の県に寺院が多いのはなぜ?

2017.10.29

業種分類「寺院」の登録件数による偏差値の都道府県ランキング(2016年)

「寺院」に関するランキング

1位の福井県は、日本で一番信徒数の多い浄土真宗が盛んなところ。浄土真宗の始祖・親鸞は、「念仏を唱えれば、誰でも救われる」という念仏為本(ねんぶついほん)を唱えて庶民の間に仏教を広めたが、旧仏教界からの弾圧により越後国(新潟県)に流罪になります。その地でも念仏布教を続けたため、新潟を中心に福井県や3位の富山県も含め、日本海側には寺院が多くなった。「浄土真宗中興の祖(ちゅうこうのそ)」と呼ばれる蓮如上人(れんにょしょうにん)が北陸の布教拠点にした吉崎御坊や、曹洞宗の総本山である永平寺も福井県だ。また、福井県に神社が少ないのは、明治期に行なわれた地方改良運動の影響があるようである。一町村を一家と見なし、その和合こそが望ましい自治であると考え、町村民心を統一するために人々の信仰を集める神社の整理統合をすすめたことが、『福井県史』に書き記されています。

2位の島根県は出雲大社の存在感が大きく、仏教よりも神社のイメージが強いところ。戦国から江戸時代にかけて世界有数の銀の産出量を誇った石見銀山があったため、銀山を支配すれば莫大な軍資金が手に入ることに目を付けた大名が多く進出してきた地域である。安土桃山時代の山師(鉱山経営者)、安原伝部衛の自伝書には、「銀山国々の人の群集20万、谷々に銀錬満ち、6谷のありさまは昔日の比ではなく、仏閣は瓦を並べ、鐘を鳴らし、あるいは太鼓を打ち、昼夜の賑わいは京や堺に異ならずや」と記されていることから、人が集まったため寺院が建立されたのではないかと推察される。

■寺院がこれから担って行くものは

かつて「葬式仏教」と揶揄されることもあった仏教だが、最近は仏教の存在意義を改めて感じられる取り組みが注目されている。仏像ブームだけではなく、仏教にまつわるさまざまなものや体験を通して、その深さや魅力に引きつけられる人も増えている。御朱印への注目もそのひとつ。本来、参拝者が写経をお寺に納めた際にいただく印であったが、いつの頃からか納経しなくても参拝の証しとして受けることができるようになった。いわば御朱印は、御守やお札と同じく寺社名に神仏が書かれている御本尊や御神体の分身。御朱印帳には寺院独自のものや伝統の技を活かしたものなど色々なタイプがある。

御朱印(写真提供:高野山 総本山金剛峯寺)
「遍照金剛(へんじょうこんごう)」と書かれており「大日如来」を意味する空海の灌頂(かんじょう)名で、「この世の一切を遍(あまね)く照らす最上の者」という意味。一番上の文字はその梵字になっている。

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また、宿坊(参拝者の為に境内に作られた宿舎)での宿泊も人気。最近は旅館などと同じ感覚で利用できる宿坊が多いようだが、やはり「お参りの為に作られた施設」への敬意を忘れずに行動することが大切である。朝のお勤めや座禅、写経を経験したり、精進料理を味わったりと、普段とは異なる厳粛な雰囲気の中での体験が貴重な思い出になることであろう。宿坊は神社にもあり、こちらは五穀豊穣を願う海の幸山の幸に恵まれた懐石料理がいただける。

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他にも、定期的に寺カフェを開催し、不安や悩みを抱える人の相談を受けたりヨガ教室を行なったりなど、寺院は人々との関わり方に新しい風を吹き込み始めた。かつてのような教育・福祉・文化の拠点としてだけでなく、心身ともに安らぎを与えてくれるサポートセンターとして、大きな存在になってくれそうである。

文/編集部

 

 

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