■連載/ペットゥモロー通信
トラの赤ちゃんにお乳をあげた母性溢れる名犬
昔、上野動物園では犬がトラを育てるという、めずしい出来事がありました。1961年6月、上野動物園に4頭のトラの赤ちゃんが産まれました。ところが、お母さんトラは乳の出が悪かったため、育てることが出来そうにありません。
そこで、飼育員は母犬・ビンゴを連れてきました。ビンゴは数日前に出産したものの、悲しいことに仔犬が死んでしまったところでした。最初、ビンゴは違う匂いのするトラの赤ちゃんに近付こうとしませんでした。そこで、機転を利かせた飼育員が赤ちゃんにビンゴのおしっこを塗ってみたところ、ビンゴは赤ちゃんにお乳をあげるようになったそうです。
トラの赤ちゃんが乳離れをするまでの2か月間、ビンゴはお乳をあげ続けました。その数か月後、立派に成長したトラ達とビンゴを再会させると、ビンゴは自分よりもかなり大きいトラ達を可愛がるように舐め、トラもビンゴに甘えたそうです。お互いに覚えていたんですね。本物の親子でなくても、そこには固い絆が結ばれているのでした。
文/大原絵理香
構成/ペットゥモロー編集部