秋の味覚といえば、さんまだ。昔から庶民の魚の代表として、脂のたっぷりのった塩焼きの人気は高く、秋のさんまといえばあのジュワジュワ感を思い浮かべる人が多いはず。残念ながら今年も不漁は続いているようだが、早く身がぱんぱんに太ったやつを、ガツガツ食べたいと思っている諸氏も多いだろう。
■大量の砂糖を使うさんま料理とは
一方、脂の少ないさんまを使った独特の郷土料理で名を馳せる地域もある。静岡県下田市の白浜だ。
元は室町時代に米飯の上にさんまを乗せた形ではじまり、幕末頃から押し寿司風に変化したものという。そして現代ではご飯をサンマで包みこむような形になったのだが、最大の特長は酢と大量の砂糖を使って〆ていることだ。
さんまに砂糖!? 初めて聞いた人はびっくりするかもしれない。いったいどのような作り方なのか、さんま寿司に詳しい伊豆白浜「みどり荘」さんによると
・頭を落として背開き
・多めの塩で12〜24時間ほどおく
・塩を落とし小骨をとり、酢に8〜10時間ほど漬ける
・酢からあげ、身の両面に砂糖をまぶして8時間ほどおく
・酢飯の上にさんまを乗せ、専用の箱で8時間ほど押す
などの非常に手間のかかる工程を経て、作るという。