岐阜県北部の飛騨地方は、飛騨市、白川村、高山市、下呂市からなる、かつての飛騨国のこと。山深い里でありながら、温泉に古い町並み、合掌造り、朝市など観光的資源も豊富。春夏秋冬、どの季節も人を惹きつける魅力があることで知られている。
食文化的にも注目すべき点が多々あり、何度行っても飽きない面白さがある。
■町内会行事に欠かせない○○ちゃん
飛騨の名物といえば飛騨牛だ。その定義は、
・飼養機関が最も長い場所が岐阜県
・飛騨牛銘柄推進協議会登録農家制度で認定登録された生産者により飼育
・14か月以上肥育された黒毛和種の肉牛
・公益社団法人日本食肉格付協会の肉質等級5〜3等級に格付けされたもの
以上の4つを満たすこととされ、きめ細やかな肉質が自慢。これはうまいに決まっているし、異論もない。けれど、地元で毎日食されている名物はもっとほかにあるはず。
そこで下呂で生まれ育ち、地元消防団でも活躍している方に「愛すべき美味いもの」を尋ねると「とんちゃん」という単語が出てきた。
「味付けの肉なんだけど、キャベツと一緒にジュージュー焼いて、町内会行事のあとなどにみんなでビール片手にこれをつっつくんだ。最後はうどんでシメるのも定番ね」
これぞ市民のソウルフードだと満面の笑みで解説してくれた。