■連載/阿部純子のトレンド探検隊
年齢とともにバストの上部にハリやボリュームがなくなってくる“バストのそげ”現象。トリンプの調査では8割以上の女性がバストのそげを感じており、20代の後半から感じるという女性が増えている。30~40代ではバストのそげを感じるポイントとして「バストの位置が下がった」「バストにハリがなくなった」という問題が挙がった。一方で、バストのそげに関して何も対策を行っていない割合は45.2%にも上ることがわかった。
年齢を重ねるにつれバストシルエットが気になるという女性の悩みに着目した「天使のブラ 魔法のハリ感」の新発売に合わせて、“そげ胸対策”についてのトークショーが開催された。バストに特化した美容外科「THE CLINIC」医師で、「ホンマでっか!?TV」など、美肌評論家としても人気の森 智恵子さんと、大手下着メーカーに勤務し、インナーウェアインストラクターとして20~70代まで多くの女性のフィッティングを経験してきた、インナーウェアコンサルタントのおぬまともこさんによる、大人のためのブラジャー対策を紹介する。
◆加齢とともに悩む人が増加する“そげ胸”とは?
おぬまさん「そげを感じる方は20代からいるが、30代以降からとても増えていく。そげとはバストの上辺にハリやボリュームがなくなるという現象。デコルテが貧相になることで胸元が開いた服を楽しめなくなる、ブラサイズは変わらないのに洋服を着たときにバストラインが貧相に見える、4分の3カップ、ハーフカップ、フルサイズカップとカップの形によってブラジャーのサイズが違ってしまい選びにくくなるというように、そげ胸によってぴったりと合ったブラジャーを着けるのが難しくなってくる。今までと同じサイズなのに着けると隙間ができる、バストにしわが寄るなど全体的に老けて見えるし、バストが年齢と共に柔らかくなり、バスト自体が下辺に集中してしまう。悩みはあるものの、胸が下がるのは年齢のせいだと諦めている人が多い」
森さん「そげは顔で言えばたるみ。理由は3つあり、まずは成長ホルモンの分泌量の減少。成長ホルモンは思春期、20代までにぐっと増えるが、25歳を境にして下がってくる。この時期から肌や胸の悩みが出てくる。水分も細胞も減っていくのでボリュームがなくなり、20代後半になると大胸筋が痩せてくる。さらに30代後半から40代になると大胸筋に加えて乳腺そのものもしぼんでくるので、胸の位置が下がり立体的なバストから下垂したバストになってしまう。
次に水分構成比による肌質の変化。顔と通じるものだが、ミカンで例えると、皮膚が皮、水分、脂肪の乳腺がつぶつぶの果肉、真ん中の実を繋いでいる白い部分が筋膜。水分を多く蓄えている20代はみずみずしい果実だが、年齢によって水分が減って来て干からびていく。体の水分量は赤ん坊の時は90%、20代の成人だと60%、60歳以降は50%ぐらいまで減ってしまい、乳腺組織そのものも衰えていく。
さらに、胸を支えているクーパー靭帯という乳腺を保護している靭帯は伸びやすい。クーパー靭帯は一度伸び切ってしまうともとに戻らない。ミカンの例でいうと、実を繋いでいる白い筋は取ってしまうと、実がバラバラになってもとに戻らないということ。うちのクリニックにも下がった胸を美容的に整形する患者さんが来るが、後で後悔しないためにも、若いうちからきちんとサイズの合ったブラジャーを着けて、クーパー靭帯が緩まないように保護することが大事。そげ胸対策としては若いころからのしっかりとしたケアの蓄積が重要となる」